ビジネスメールは宛名からはじまり、挨拶・名乗り、要旨・詳細、結びという順番で続けていきます。この中の「挨拶」部分が、今回取り上げる「書き出し」にあたります。
案内状や送付状のようなビジネス文書と異なり、ビジネスメールでは、書き出しの「拝啓」や結びの「敬具」などを入れなくてもよいとされています。ビジネスメールには、ビジネスメールの書き方があると理解しておきましょう。
宛名を省略すると失礼な印象を与えてしまいかねません。フルネームであれば、より丁寧な印象を与えます。具体的な宛名の書き方は、次の通りです。
名字や姓名の後には「様」などの敬称をつけます。目上や目下を気にすることなく使える「様」が便利です。「殿」は目上の人が目下の人に対して使うものとも言われているため、間違えないようにしましょう。
相手に役職がある場合には、「名字(姓名)+役職」とします。役職が敬称にあたるため、「名字(姓名)+役職+様」は間違いです。相手が複数の役職を兼任している場合などには、あえて役職を書かずに「名字(姓名)+様」としてもよいでしょう。
社内の場合、敬称に「さん」を使うことも珍しくありません。頻繁にやりとりをする相手や身近な相手であれば、「さん」でも問題ないでしょう。
宛名の後には必ず挨拶を入れましょう。「お世話になっております」「お疲れ様です」は、いつどのような場面でも使えます。また、「おはようございます」「夜分遅くに失礼いたします」などの時間帯に合わせた挨拶を入れることも可能です。
社外の相手に初めて連絡する際や改まったシーンでの名乗りは、「正式な会社名+名字(もしくは、姓名)」を記載します。送信者名を設定してあるからと省略せず、宛名と同じように丁寧に書きましょう。社内では名字が基本ですが、社員が多い場合や同姓同名の人がいる場合には「姓名」「部署名+名字」「部署名+姓名」などとすると親切です。
この資料では、これらのことを紹介しています。
・重要なメールマナーのポイント
・よく使う挨拶・結び・お詫びフレーズ集
・シーン別のメール文例と解説
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ここでは、ビジネスメールの基本的な書き出しを見ていきましょう。
件名:
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株式会社◯◯◯◯
□□部
●●●様初めてご連絡いたします。
株式会社△△ ■■部の▲▲▲▲と申します。貴社サイトを拝見し、メールをお送りいたしました。
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この度、新サービスの無料お試しキャンペーンを開催することになりました。
つきましては、・・・(省略)・・・
社外向けの挨拶は、相手との関係性に合わせて変えることも可能です。何度もやりとりする関係性の場合、お世話になる頻度が高い場合は「いつも」、お世話になる程度が大きい場合は「大変」をつけます。面識がない方に初めてメールを送る場合や、しばらく時間が空いてしまった場合など、以下の文例を参考にシーンに適した挨拶を選びましょう。
関係性・状況 |
挨拶・名乗りの一例 |
面識がない |
〇〇株式会社の●●と申します。初めてメールをお送りします。 |
名刺交換のみ |
先日の〇〇で名刺交換させていただきました●●です。 |
久しぶりに連絡 |
大変ご無沙汰しております。 |
前回迷惑をかけた |
先日の〇〇では大変ご迷惑をおかけしました。 |
引継ぎの挨拶 |
××に代わり〇〇様の担当をさせていただきます、●●と申します。 |
1日に何度も送る(一方的に続けて・五月雨式に) |
度々失礼いたします。 |
先ほど電話でお話した |
先ほどはお電話にてありがとうございました。 |
メール本文冒頭の書き出しは相手の目につきやすいため、正しい敬語表現を心がけましょう。以下の【A:メールを送る目的】に【B:メールを使って何をするか】を繋げて使います。
(例)見積金額の確認をさせていただきたく、ご連絡しました。
【A:メールを送る目的】
何かをしたいとき |
~の確認をさせていただきたく |
何かをさせてほしいとき |
~についてご相談(変更)させていただきたく ~のご相談(変更)で |
何かをしてほしいとき |
ご確認いただきたく(×ご確認していただきたく) |
訪問したいとき |
伺いたく(×伺わせていただきたく) |
【B:メールを使って何をするか】
連絡したとき |
ご連絡しました / ご連絡いたしました |
報告(回答/共有)するとき |
ご報告(ご回答)いたします 共有させていただきます |
ここからは、ビジネスメールの書き出し文例をシーン別に見ていきましょう。概要を書き出しに記載することで、本文の内容がスムーズに伝わりやすくなります。相手に伝えたい結論や求めるアクションを最初に示すということです。
面識がなく初めて連絡する相手への書き出しでは、信頼を得るために正式な会社名、役職名、名字(もしくは、姓名)や、連絡先を知った経緯を明記することが重要です。宛先の名字(姓名)がわからない場合には「ご担当者様」とし、会社名のみわかっている場合には「〇〇御中」としましょう。
メールを送る前に電話やWeb会議でやりとりした場合、書き出しではお礼を述べるのがマナーです。会ったり話したりしたことがあるにもかかわらず、初めて連絡すると書くのは失礼にあたるため注意しましょう。
しばらく連絡していなかった相手にメールを送る場合、最後に会ったり話したりしたのはいつどのような場面だったのかを具体的に示しておくと、思い出してもらいやすくなります。
同じ相手から短時間に何度もメールが送られてくることを好まない人もいるため、相手への配慮を示しましょう。
お礼や感謝の気持ちを伝える書き出しの場合、ほかの書き出し文例の前につけて組み合わせましょう。そうすることで、気持ちがより伝わります。
ビジネスメールに返信するには、相応の時間と手間がかかります。まずは返信をもらえたことに対する感謝を伝えましょう。特に、クレーム対応やお断りを入れる、否定や反論を伝える必要があるなど、難しい内容のときこそ、書き出しでお礼や謝罪の気持ちを丁寧に伝えておくとよいでしょう。
お詫びや謝罪メールの場合、宛名と挨拶・名乗りは正式名称で記載します。本文の書き出しは、最初に謝罪の言葉を述べましょう。ミスを認め誠意を持ってお詫びをすることで、信頼回復に努めます。
お願いや依頼は、相手の仕事を増やすことを意味します。快く受け入れてもらえるよう、相手にねぎらいや感謝の言葉をかけましょう。事情も考慮しつつ丁寧にお願いすることが大切です。
催促メールの書き出しは、緊急度によって文例を使い分けましょう。基本的に相手を尊重し、気分を害さない表現を心がけます。期日前なら状況伺いとし、期日を過ぎたら確認したかどうか、それでも返信などのアクションがなければ少し強めの表現を用いましょう。
期限を過ぎるには、何らかの理由があるはずです。「恐れ入りますが」「恐縮ですが」「お手数ですが」といったクッション言葉を活用して、印象を和らげましょう。相手に説明の余地(逃げ道)を残すことが大切です。
ビジネスでは相手からの提案や申し出、誘いを断ることも珍しくありません。お断りの場合、クッション言葉を活用し角が立たないように配慮しましょう。さらに「今回は」「現状では」「現段階では」などの言葉を加えると、全面的に拒絶するニュアンスが軽減され、今後の可能性を残しておくこともできます。
苦情を伝える場合には、冷静に客観的事実を伝えることが重要です。感情的に責め立てることなく、やわらかい表現で伝えるようにしましょう。
報告、共有、お知らせなど、相手に送るメールの目的を伝えましょう。
日程調整や納期の連絡など、日時の連絡はビジネスシーンではよくあることです。具体的な日時を記載することで、思い違いや誤読を防ぐことができます。日時を連絡する際には、日付と時間だけでなく曜日もあわせて記載しておくと、より相手に正確に伝えることができるでしょう。
転送文の前に経緯や目的を添えるようにすると、相手がアクションを取りやすくなります。転送したメールが見てもらえていなかったということのないように、きちんと説明しましょう。
担当者交代のメールを送る場合、新しい担当者として着任の挨拶をします。交代の理由は「異動」「退職」などに留め、詳細に伝える必要はありません。着任したらなるべく早く業務を引き継いだことをお知らせし、お客様や取引先などに安心してもらえるようにしましょう。
季節の挨拶を取り入れると、いつもとは違う書き出しのビジネスメールを送れます。季節の変わり目や年末年始は、お客様や取引先などに日ごろの感謝を伝えられるよい機会です。夏季・冬季の休業をお知らせする際に用いてもよいでしょう。
ビジネスメールの書き出しとして基本となる「お世話になっております」は、多くのシーンに使えて便利です。しかし、万能ではなく、初めてメールを送る相手やメールを送る前のやりとりを踏まえた上で、シーンに応じた適切なフレーズを使う必要があります。
現時点での相手との関係性や今後どのような関係を構築していきたいのかによっても、書き出しは変わります。相手との関係性に合わせて適切なフレーズを選ぶことが大切です。また、書き出しがワンパターンになりがち、何か変化をつけたい、ほかの表現にしたいというときにも、この文例を参考にしてください。
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