アンケートや見積書、請求書、パンフレット、契約書など、お客様に何かを「送ってください」とお願いすることは、そう珍しいことではないでしょう。
ところが、よくあることだからこそ、知らず知らずのうちに失礼な言い回しをしてしまっているということもあります。
送ってほしい物があったとき、日頃どのようなメールを書いているか、思い出してみてください。その文面は、本当にビジネスマナーに則ったものでしょうか?
ここでは、何かを「送ってください」とメールでお願いする場面での表現についてご説明します。この機会に、改めて自分のメールを見直してみましょう。
ビジネスメールは敬語で書くのが基本です。たとえこちらが客の立場だったとしても、「◯◯を送っておくように」などと書いてしまっては、品位が疑われることになるでしょう。
その点、「送ってください」というのは、一見丁寧な言葉遣いに見えます。実際に、「◯◯を送ってください。よろしくお願いします」というようなメールを書いたことがあるという方もいるかもしれません。
ところが、この「送ってください」も、実はビジネスメールとしては良くない書き方なのです。
「してください」というのは、お願いしているようにも聞こえますが、実は「命令」のニュアンスを含んだ言葉です。
例えば、「笑ってください」と「笑っていただけませんか」では、後者のほうが丁寧に感じるのではないでしょうか?
「ペンを取ってください」と取引先の方に言うのは失礼だというのは、多くの方の共通認識でしょう。「送ってください」も、これと同じニュアンスの言い回しなのです。
この資料では、これらのことを紹介しています。
・重要なメールマナーのポイント
・よく使う挨拶・結び・お詫びフレーズ集
・シーン別のメール文例と解説
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それでは、「送ってください」を失礼でないように伝えるためには、どうすればいいのでしょうか。3つのポイントをご紹介します。
日本語には、「尊敬語」「謙譲語」「丁重語」「丁寧語」「美化語」の5つの敬語があります。このうち、謙譲語は自分の行動に対してへりくだった言葉を使うことで、相手を相対的に上げる敬語です。
また、丁重語も自分の行動をへりくだった表現ですが、謙譲語とは違い相対的に上げる相手はいない敬語です。「送ってください」の場合、「送る」という行動は相手がすることですから、謙譲語、丁重語はあてはまりません。
「送ってください」という表現は丁寧語にあたりますが、「お」をつけて「お送りください」とすることで、より丁寧な姿勢を表現することができます。
ただし、丁寧語はあくまでも丁寧な言い回しであるというだけで、相手へ敬意を払う言い方ではありません。
「送ってください」を「尊敬語」で表現する場合は、「ご送付ください」となります。口語や友人同士などの間柄ではあまり使われることのない言葉ですが、ビジネスパーソンとして「ご送付ください」という言い回しが自然に出るよう、普段から意識して使うようにしたいものです。
日本語は、複数の言葉を組み合わせることで丁寧さを演出することができる言語です。「ご送付ください」に、さらに「お願い申し上げます」を組み合わせて、「ご送付くださいますよう、お願い申し上げます」とすると、より丁寧になるでしょう。
クッションになる言葉とは、「ご送付ください」の前にプラスすることで表現をやわらげるための言葉のことです。
例えば、「ご多忙中のところ大変恐縮ですが」「お手数をおかけいたしますが」といった言葉がこれにあたります。このようなクッション言葉(ビジネス枕詞)には、いくつものバリエーションがありますが、どれも「相手を気遣い、申し訳なさを演出する」という共通点があります。
上司や役員など社内の上席に向けたものや、社外の方向けに見積依頼、協力のお願いなど、よくある様々なシーンで役立つ依頼メールの文例をご紹介します。
それでは、依頼メールの文例を見てみましょう。ここでは、3つのパターンをご紹介します。
<パンフレットと価格表を送ってほしい場合のメール文例>
件名:
パンフレット・価格表ご送付のお願い本文:
株式会社◯◯
●●様初めてご連絡いたします。
株式会社△△の▲▲と申します。御社のウェブサイトを拝見してご連絡いたしました。
「■■」というサービスについて、詳しい情報を伺いたく存じます。ご多忙中のところ大変恐縮ですが、■■のパンフレットを1部、
下記住所までご送付いただけますでしょうか。
また、価格表がございましたら、参考までに同封いただければ幸いです。=======
【送付先住所】
〒111-1111
東京都◯区✕✕1-1-1 ◯◯ビル
株式会社△△ 営業本部
担当:▲▲ ▲▲
=======どうぞ、よろしくお願いいたします。
書類の送付をお願いするメールのポイントは、送付先の住所をわかりやすく明記することです。
文面に気を配ることも大切ですが、「どこに送ればいいのか」をはっきり書いておくことで、相手の負担を軽減させるよう心掛けましょう。
また、「いつまでに欲しい」という期限が決まっている場合は、「ご多忙中のところ大変恐縮ですが、◯月✕日の社内会議で検討予定となっておりますので、それまでにご送付いただければ幸いです」といった一文を付け加えます。
<依頼していた書類が届いておらず、催促したい場合のメール文例>
件名:
パンフレットご送付のお願い本文:
株式会社◯◯
●●様いつも大変お世話になっております。
株式会社△△の▲▲です。◯月✕日に、御社の新製品「■■」に関するパンフレットを2部
ご送付くださいますよう、お願いのメールを送らせていただきました。
お手元に届いていらっしゃるでしょうか。1週間以内のご送付をお願いしておりましたが、
◯月△日現在、到着を確認できておりません。
何らかの手違いで、メールをお届けできていない可能性もあるかと思い、
再度ご連絡を差し上げた次第です。お忙しいところ大変申し訳ありませんが、ご確認いただければ幸甚です。
念のため、再度送付先住所をお知らせいたします。=======
【送付先住所】
〒111-1111
東京都◯区✕✕1-1-1 ◯◯ビル
株式会社△△ 営業本部
担当:▲▲ ▲▲
=======なお、本メールと行き違いでご発送済みの場合は、何卒ご容赦ください。
どうぞよろしくお願いいたします。
すでにお願いしている書類や物が届いていない場合は、相手を責める口調にならないよう、十分注意する必要があります。メールが届いていなかった可能性や、相手の忙しさを配慮する内容を織り込みながら、慎重に連絡しましょう。
ただし、これは最初に送ったメールの返信がなかった場合の書き方です。
「すぐにお送りします」といったメールがもらえていたのに資料が届かないという場合は、「いつ、どのような返答をもらったか」という内容に加えて、「製品が手元に届いていないこと」「発送時のトラブルなどについて危惧していること」「状況を確認してほしいということ」などを文面に盛り込みます。
どちらの場合も、基本的な書き方は、「依頼内容の再確認」「現状の説明」「相手への気遣い」「再度の依頼」という構成になります。また、メールの返信がなかった場合は、最初に送ったメールを引用して連絡するのもおすすめです。
<アンケートの回答をメールで送ってほしい場合のメール文例>
件名:
アンケートご回答のお願い本文:
株式会社◯◯
●●様お世話になっております。
株式会社△△の▲▲です。いつも弊社のサービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
この度、弊社ではお客様満足度向上のためにアンケートを実施することとなりました。ご回答いただきました方には、
もれなく弊社サービスで利用できるポイントを500pt進呈いたします。
所要時間は15分ほどとなっておりますので、ご協力いただければ幸甚です。ご協力いただける方は、下記URLから回答画面に進んでください。
https://XXXXX.com/XXX/※回答期限は◯月✕日23:59とさせていただきます。
※ご回答いただいた内容は、弊社サービスの向上にのみ使用いたします。
※個人情報は弊社プライバシーポリシーに基づき厳重に管理いたします。お忙しいところ恐縮ですが、貴重なご意見をお待ちしております。
アンケートの依頼をする際は、アンケートの目的や回答期限、方法などを明記しましょう。
また、アンケートの回答をどのように扱うかについてや、アンケートに答えるメリットなどを併記することで、回答率の上昇が期待できます。
一言で「送付依頼」といっても、さまざまな内容が考えられます。それぞれのシーンに合わせて、受け取った人が不快感を抱かない表現を心掛けましょう。
それと同時に、こちらが求めていることや、相手が受けるメリット・デメリットについて明確に説明し、不安を払拭することも大切です。
このブックでは、これらのことを紹介しています。
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