ビジネスメールでは「ご容赦ください」というフレーズをよく見かけます。「ご容赦」は、謝罪の際に使う言葉というイメージがありますが、使用方法を誤ると相手をさらに不愉快にさせてしまう可能性があるので注意しなければなりません。
ここでは、ご容赦の正しい意味と使い方のほか、よく似た単語との使い分けについて解説します。
「ご容赦ください」は、相手に対する過ちや失敗について、許しを請うという意味です。「許してください」「大目に見てください」というニュアンスの言葉です。
そのため、ビジネスシーンでは、何かミスや過失が生じてしまった際に使うことになります。しかし、相手が憤りや不快感を抱きながらミスを指摘してきた際に、謝罪の意味を込めて「ご容赦ください」と書いてしまうと、図々しい印象を与えてしまうことになるでしょう。
そのため、「ご容赦ください」という言葉は、相手からミスについて指摘される前に、先立って非礼を詫びるシーンで使用するのが適しているといえます。
また、「ご容赦ください」という言葉自体には、謝罪の意味が含まれていません。「申し訳ございません」「大変失礼いたしました」など、必ず謝罪の一文とセットで用いるようにしましょう。
過失を先に詫びる際に使う「ご容赦ください」という言葉ですが、メールではどのように表現すれば良いのでしょうか。具体的な文例をご紹介します。
<例>
申し訳ございません。ご希望の納期に間に合わない可能性がございます。
最短納期で進めていますので、何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。
<例>
今月分の入金が確認できておりませんので、ご連絡させていただきました。
行き違いですでにご手配いただいている場合は、失礼のほどご容赦ください。
<例>
イベント当日は至らぬ点が多かったかと存じますが、何卒ご容赦くださいませ。
社内向け、社外向け、間違ったメールを誤送、件名を忘れた、相手を怒らせてしまった…などシーン別の文例と、書き方や注意点、ポイントを解説しています。
「ご容赦ください」によく似た言葉として、「ご承諾ください」「ご了承ください」「ご理解ください」「ご勘弁ください」といったものがあります。どれも同じような場面で使われるイメージのある言葉ですが、それぞれ違う意味があります。一つひとつの意味を詳しく見ていきましょう。
「ご承諾」という言葉には、意見や要求を聞いて受け入れるという意味があり、「こちらの要求を聞いて受け入れてください」といったニュアンスとなります。
「ご容赦ください」は過失を詫びる際に使いますが、「ご承諾ください」は過失がなくとも、迷惑をかけてしまう場合にお詫びする言葉として使います。
定期メンテナンスによるサービス停止など、あらかじめ通知した事項や、迷惑がかかってしまうものの、やらなければならない事項に際して使用しましょう。
<例>
現在、サーバーの定期メンテナンスによりサービスがご利用いただけません。何卒ご承諾の程、お願い申し上げます。
「ご了承ください」は、まだ開始していない事項やこれから始まる内容に対して許しを請う場合に使います。
営業日のお知らせや規約・規定で予定されている事項などを伝える際に用い、強制的なニュアンスを含む言葉でもあります。一方的な印象を与えてしまうこともあるため、上司や取引先に伝える際は、失礼のない表現となるよう配慮する必要があります。
<例>
弊社の年内営業は◯月◯日までとなります。勝手ではございますが、ご了承くださいますようお願いいたします。
・ご理解ください
「ご理解ください」は、相手に対して「こちらの事情をくみ取ってほしい」という意味で使います。
「ご承諾ください」や「ご了承ください」と同じく、仕方がないけれど相手に迷惑をかけてしまうことを詫びるシーンで用いますが、相手への負担が比較的軽い事項の際に使われることが多いです。
<例>
会場の関係上、定員は100名とさせていただきます。何卒ご理解ください。
「ご勘弁ください」は、「ご容赦ください」と同じく自分の過失を許してほしい際に用います。
また、相手に伝えることで「やめてください」という意味にもなります。「ご容赦ください」よりも強い表現なので、懇願に近い印象を与えます。
<例>
無断キャンセルはご勘弁ください。
仕事でミスをしてしまうことは誰にだってあります。その際、どれだけ早く丁寧に謝罪できるかが、相手との関係性を維持するのに重要となります。また、過失でなくとも相手に迷惑をかけてしまうことになるケースも存在します。
「ご容赦ください」や「ご了承ください」などの言葉の意味を正しく理解し、適切な場面で使い分けることで、相手の心証を悪化させないことにつながります。今回ご紹介した内容を理解して、それぞれの言葉をビジネスに活かしていきましょう。
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