基本的なお礼の挨拶文
ビジネス文書やビジネスメール、改まった手紙での書き出しは、お礼の挨拶から始めるのが一般的です。お礼を伝える挨拶文では、礼を尽くし、丁寧さや誠実さが伝わる表現を心がけましょう。感謝というポジティブな気持ちを言葉に表すことで、信頼関係を築きやすくなります。
まずは、どのようなシーンにも対応できる一般的なお礼の文例を紹介します。汎用性のある基本的なパターンと、取引先や顧客に向けたフォーマルなパターンを取り上げます。
基本的で汎用的な挨拶文
ビジネスのさまざまな場面で使える、基本的なお礼の挨拶文を紹介します。
- ご対応いただき、誠にありがとうございます。
- 日頃から温かいお力添えをいただき、感謝しております。
- いつもご配慮いただき、大変ありがたく思っております。
- 先日はどうもありがとうございました。
- 昨日は〇〇していただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
- 先日のお礼をと思い、ご連絡いたしました。
一般的には、「ありがとうございます」「感謝しております」といった表現が、お礼の気持ちを伝える挨拶文として適切です。
取引先・顧客向けのフォーマルなビジネス挨拶文
取引先や顧客への感謝を伝える際に使える、フォーマルな挨拶文の例です。
- 平素より格別のご高配を賜り、心よりお礼申し上げます。
- 平素よりお引き立てを賜り、厚くお礼申し上げます。
- 〇〇様には日ごろから格別なお取り計らいをいただき、深くお礼申し上げます。
- 昨日は、ご多忙のところ貴重なお時間を頂戴し、心より感謝を申し上げます。
- 先日の〇〇(イベントなど)ではご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
- 先日は、特別なお取り計らいをいただき、厚くお礼申し上げます。
ビジネス向けのフォーマルな挨拶文では、「ありがとうございます」に加えて、「お礼申し上げます」「感謝を申し上げます」などの表現を使うと、より丁寧で誠実な印象になります。「心より」「厚く」などを加えると、より気持ちが伝わります。
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シーン別「お礼の挨拶文」文例集
お礼の挨拶は、相手との直近の出来事や過去のやり取りなど、少し具体的な内容を添えると、感謝の気持ちがより伝わります。
ここでは、ビジネスでよくあるシーン別に、お礼の挨拶文の文例を紹介します。
新規取引先への訪問後のお礼挨拶文
初めての訪問時には、今後の関係づくりを意識して丁寧に感謝を伝えましょう。
文例:
本日は、ご多忙の中お時間を割いていただき、誠にありがとうございました。
貴重なお話を伺うことができ、大変有意義な時間となりました。
今後の提案内容にしっかり反映し、貴社のお役に立てるよう努めてまいります。
引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
参考:
- 先日は、丁寧にご対応いただき、厚くお礼申し上げます。
- 昨日は、温かくご対応くださり、心よりお礼申し上げます。
- 初めてのご挨拶にもかかわらず、ご丁寧に対応してくださり大変感謝しております。
- ご契約後、初めてのご挨拶で緊張いたしましたが、温かく迎えていただき感謝の気持ちでいっぱいです。
成約・発注後のお礼挨拶文
成約や発注後には、感謝とともに今後のサポート姿勢を伝えると好印象です。
文例:
この度は、弊社サービスをお選びいただき、誠にありがとうございます。
ご期待にそえるよう、品質・対応の両面で誠心誠意サポートしてまいります。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
参考:
- 〇〇(商品やサービス名)の正式なご発注、心より感謝申し上げます。
- この度は、ご契約の運びとなりましたこと、厚くお礼申し上げます。
- 数ある企業の中から弊社をお選びいただき、重ねてお礼申し上げます。
- 慎重にご検討いただいた上でのご決断に、大変感謝しております。
ご紹介を受けた際のお礼挨拶文
紹介を受けた際は、紹介者・紹介先の双方に丁寧な感謝を伝えることが信頼につながります。
文例:
この度は〇〇様(紹介先)をご紹介いただき、ありがとうございました。
早速お打ち合わせの機会を頂戴することができ、心より感謝申し上げます。
引き続きよろしくお願いいたします。
参考:
- 〇〇様(紹介先)とのご縁をおつなぎいただきましたこと、心より感謝申し上げます。
- 〇〇様(紹介者)にお力添えいただき、商談が前へ進みそうです。
- 〇〇様(紹介者)のおかげで、お打ち合わせの機会をいただくことができました。
- ありがたいことに、ご紹介のおかげで先方とのご面談が叶いました。
会食・食事会のお礼挨拶文
会食や食事会の後には、その場の印象や感想を交えた一文を添えると温かみが出ます。
文例:
この度は、お食事の機会を設けていただき、誠にありがとうございました。
貴社の〇〇様ともお話でき、大変有意義な時間となりました。
心より御礼申し上げます。
参考:
- 昨日は、楽しいひとときをご一緒でき、大変嬉しく思っております。
- 昨日は、私どものために心温まるおもてなしをいただき、誠にありがとうございました。
- 先日は、お心遣いあふれるお席にお招きいただき、厚くお礼申し上げます。
- 先日の会食では、おいしいお食事と貴重なお話を賜り、心よりお礼申し上げます。
展示会・イベント来場へのお礼挨拶文
展示会やイベントに来場していただいた場合は、来訪への感謝と今後のご案内を簡潔に伝えましょう。
文例:
この度は、ご多忙の中、展示会にお越しいただき、誠にありがとうございました。
弊社の展示内容にご関心をお寄せいただき、大変光栄に存じます。
当日ご紹介した製品の詳細資料をお送りいたしますので、ご覧いただければ幸いです。
参考:
- ご多用中にもかかわらず、展示会に足をお運びいただき、心よりお礼申し上げます。
- 先日は、〇〇イベントへのご来場、誠にありがとうございました。
- 弊社ブースへお立ち寄りいただきましたこと、心より感謝を申し上げます。
- 先日は、遠方より弊社イベントにご来場いただき、厚くお礼申し上げます。
セミナー登壇・講演のお礼挨拶文
登壇や講演へのお礼では、感謝とともに学びや印象に残った点を伝えると好印象です。
文例:
この度は、〇〇についてご講演いただき、心より感謝申し上げます。
実務に役立つ具体例も交えたお話で、多くの学びを得ることができました。
関係者一同、大変感銘を受けました。誠にありがとうございました。
参考:
- 本日は、素晴らしいご講演を賜り、厚くお礼申し上げます。
- 昨日は、ご多忙の中、弊社のセミナーにご登壇いただき、誠にありがとうございました。
- この度は、興味深く示唆に富むお話を賜り、深く感謝申し上げます。
- 先日は、熱意あふれるご講演をいただき、誠にありがとうございました。
お中元・お歳暮・贈り物へのお礼挨拶文
贈り物をいただいた際は、品物へのお礼とともに、温かいお気持ちへの感謝を添えると好印象です。
文例:
先日は素敵なお品を頂戴し、誠にありがとうございます。
日頃のご無沙汰をお詫び申し上げますとともに、今後とも変わらぬご厚情の程よろしくお願い申し上げます。
参考:
- 素敵なお品をお送りいただき、誠にありがとうございます。
- お心のこもったお品に一同大変喜んでおります。
- ○○様のお心遣いに大変感謝しております。
- いつも心にかけてくださり、深くお礼申し上げます。
結婚祝いをいただいた際のお礼挨拶文
結婚祝いをいただいた際には、夫婦としての感謝を丁寧に伝えると印象に残ります。
文例:
先日は、素敵なお祝いの品をいただき、心よりお礼申し上げます。
〇〇様からの温かいお言葉やお心遣いを励みに、二人で力を合わせて幸せな家庭を築いてまいります。
改めて感謝申し上げます。
参考:
- ご多忙の中、温かな結婚祝いをお贈りいただき、感謝申し上げます。
- この度は、心のこもったお祝いの品をご用意いただき、誠にありがとうございました。
- この度は、素敵なお祝いの品を頂戴し、夫婦共々感激しております。
- 〇〇様よりお心のこもった結婚のお祝いをいただき、深く感謝申し上げます。
お見舞いをいただいた際のお礼挨拶文
お見舞いのお礼は、気遣いへの感謝と回復への前向きな言葉を添えると良いでしょう。
文例:
この度は、お見舞いにお越しいただき、誠にありがとうございました。
温かいお心遣いと励ましのお言葉に大変勇気づけられました。
一日も早く復帰できるよう努めてまいります。
改めてお礼申し上げます。
参考:
- ご多忙にもかかわらず、わざわざお見舞いにお越しいただきましたこと(お見舞いの品をいただきましたこと)、心より感謝申し上げます。
- 先日は、お心のこもったお見舞いのお言葉(お見舞いのお品)を頂戴し、大変励まされました。
- 先日のお見舞いのお心遣いに大変感謝しております。
- 先日のお見舞いのお気持ちに厚くお礼申し上げます。
異動・転勤・退職時のお礼拶文
異動や退職時は、これまでの感謝と今後のつながりを意識した言葉で締めくくりましょう。
文例:
在任中は温かいご指導ご鞭撻を賜り、心よりお礼申し上げます。
〇〇部での経験は、私にとって大きな財産となりました。
皆様とのご縁に感謝し、今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
参考:
- 在職中は、大変お世話になりました。これまでのご厚情に心より感謝を申し上げます。
- 在職中は、皆様から温かいご支援をいただき、心より御礼申し上げます。今後の皆様のご活躍をお祈りするとともに、どこかでまたお会いできましたら幸いです。
- 〇〇(異動・転勤)に際しまして、これまでのご厚情に心より感謝申し上げますとともに、今後とも変わらぬご指導をお願い申し上げます。
- これまでのご厚誼に心より感謝を申し上げ、引き続き変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。
- 長きにわたり、格別のご厚誼を賜り、厚くお礼申し上げます。誠にありがとうございました。
お礼の挨拶は「信頼関係の第一歩」
お礼の挨拶は、相手との信頼関係づくりに欠かせないコミュニケーションです。感謝の気持ちをきちんと言葉にすることで、誠実さや安心感、敬意を相手に伝えられます。小さな一言の積み重ねが、長期的に良好な関係づくりの基盤となっていくことでしょう。
ビジネスメールや手紙などで定型文を用いる場合でも、相手や状況に合わせた一言を添えることで、挨拶文の印象は大きく変わります。「感謝+具体的な出来事」を意識して言葉にすることで、より心に残るお礼の挨拶文を送り、相手との信頼関係を築いていきましょう。
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記事の監修者
平野 友朗(ひらの ともあき)
一般社団法人日本ビジネスメール協会
代表理事、株式会社アイ・コミュニケーション代表取締役。ビジネスメール教育・改善の第一人者として知られ、メールコミュニケーションの専門家。メディア掲載1500回以上、著書39冊。メールのスキルアップ指導、組織のメールに関するルール策定、メールの効率化による業務改善や生産性向上などに数多く携わる。講演や研修、コンサルティングは年間150回を超える。近著に『パッと見てわかる!
仕事がうまく回り出す 時間術のきほん』(ナツメ社)などがある。