サイボウズ株式会社の田畑友紀と申します。
昨今は人材の流動性が増し、「定年まで安定雇用」という時代ではなくなりました。そこで問題となるのが、業務の引継ぎです。前任者が担当していた業務を、停滞することなく引き継ぐにはどうすればいいのか。難しい問題に直面している方も多いのではないでしょうか。
Cybozu Days 2018で発表した内容を基に、サイボウズ社内でどのように引継ぎを行ったのか、ツールを使った事例をご紹介します。
以前のサイボウズ パートナー営業部は、「人が少ない」「若手が入っても辞めていく」「売上は横ばい」と、かなりきびしい状況が続いていました。
例えば、当時のミーティング時間は、19:10~21:00と完全に業務時間外。「売上がきびしいので、みんなで集まって作戦会議をしよう」と、ほぼ強制参加の状態でした。
働き方を見ても、
と、いわゆるブラック企業並みの労働環境だったのです。
そんな営業部の中で、私が置かれていた環境は恵まれていました。というのも、担当パートナー(販売店)の窓口が元サイボウズ社員だったため、仕事がやりやすかったのです。また、東京を拠点としていたので、出張もほとんどなし。受注もスムーズで、マイペースに仕事ができる状況でした。
一方、カリスマ女性営業さん(以下、カリスマさんとします)は、窓口さえない大企業をパートナーとして開拓し、そのパートナーをサイボウズの中で、9年間で売上3本の指に入る規模にまで成長させました。
また、全国にパートナーの拠点があるため、地方出張は当たり前。売上が伸びる度にメンバーを増員し、4人グループのチームリーダーとしても活躍していました。
私は傍目に見ながら、ただただ「すごい人だな」と感心していたのです。
そんなある日、私は本部長に呼び出されました。「カリスマさんが辞めることになったので、そのパートナーを引き継いでほしい」と言われたのです。
正直、焦りました。まず思い浮かべたのは、出張で埋まったカリスマさんのスケジュール。私もあんな状態になるのだろうか。4人のチームを率いるマネジメントなんて、私にできるのだろうか。今までのようにマイペースで仕事ができなくなるのでは?...不安が襲ってきます。
でも、ごく普通の営業である私が、大きく成長できるチャンスかもしれない。最終的には覚悟を決めました。そうこうしているうちに、引継ぎが開始。タイムリミットは3ヵ月です。その短い期間で、カリスマさんの9年分のノウハウ、活動内容、人脈を引き継がないといけません。
この資料では、これらのことを紹介しています。
・メールソフトでテンプレートを管理する方法
・Excel、スプレッドシートでテンプレートを管理する方法
・メール共有システムでテンプレートを共有・管理する方法
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私なんかが、カリスマさんの仕事を引き継げるのだろうか。そんな不安をよそに、彼女はこんなことを言いました。
「パートナーさんのことはメンバーがわかっているから、教えてもらってね」
「情報は全部グループウェアに残しているから、困ったら探してね」
「残りの時間は挨拶回り、人脈を引き継ぐのに使いましょう」
確かに、パートナーに関わる業務フローや数字については、資料さえあれば一人でインプットできます。しかし、人脈の引継ぎはどうしても効率化できません。やがて、カリスマさんとともに全国行脚の日々に突入していきます。
また、出張とともに、私の担当パートナーも後輩へ引き継ぐ必要もありました。つまりこの3ヵ月間は、2人分の担当パートナーの仕事を同時に進めなければいけません。そんな中、救いだったのが次の4つのポイントです。
これがなければ、たった3ヵ月間で9年分の業務を引き継ぐことはできなかったと思います。
サポートしてくれるのは、4人のチームメンバーと各営業拠点のメンバー、アシスタントなど、総勢20名の優秀なメンバー。みんなの力を借りて、チームでワークして成果を上げていけばいい。そう思うと、少し気が楽になりました。
メールを共有できる環境も、重要なポイントでした。サイボウズの製品「メールワイズ」によって、各メンバーが送受信したメールを、すべて見られる環境ができていたのです。つまり、カリスマさんが退職した後も、過去のメールをすべて見ることができます。
メールワイズとは、簡単にいうと「共有用のメーラー」です。みんなが送受信したメールを1つのメールボックスに受信させて、お互いのメールを確認できるしくみになっています。
メールワイズの活用方法を少しご紹介しましょう。
まず、メンバー全員のメールアドレスを1つのボックスに設定します。さらに、そのメールは、営業アシスタントも見ることができます。
アシスタントが内容を確認し、営業自身が返さないといけない内容なのか、アシスタントでも対応可能なのか、判断して振り分ける。アシスタントが対応できる内容であれば、代わりに返信してもらう。ちょっと判断に迷う場合は、コメントを書き込みながらやりとりする機能もあるので、会話しながら進められます。
メールワイズで助かった事例を1つ紹介しましょう。あるとき、引き継いだパートナーから電話がかかってきました。「いつもカリスマさんにやってもらっていた◯◯社の特別対応、今年もよろしく」と矢継ぎ早に言われたのです。でも、私にはさっぱりわかりません。
そこで、すぐにメールワイズで会社名を検索。過去のメールを見て、具体的な対応方法を確認することができました。
メールを共有するメリットって、なかなか理解できない方が多いかもしれません。でも、「営業にしか対応できないこと」と「アシスタントでも対応できること」を分けられる体制があれば、営業は本来の仕事に集中できるはずですよね。
私が所属しているパートナー営業部は、各地域の営業本店チーム、アシスタントチーム、受発注対応チームなど、さまざまな人とやりとりしています。他拠点、他部署を横断して活動する場合、チーム全員で情報共有できる土台がないと、円滑に仕事を進めるのは難しくなります。
カリスマさんは、その環境も作ってくれていました。それが「Garoon」というグループウェアの「スペース」機能です。スペースとは、会話できる場所のこと。
これを使えば、売上情報の共有はもちろん、受注した案件のポイントなども簡単に書き込めます。つまり、他拠点のメンバーともノウハウを共有できるのです。やはり、売上情報を共有しながら対話をすると、一体感が生まれますよね。
ほかにもカリスマさんは、企画やイベント開催の情報、名刺だけではわからないキーパーソンの情報もスレッドに残してくれていました。しかも、アドバイス付き。私が引き継いだパートナーに関わる重要な情報を、すべて1つのスペースにまとめてくれていたのです。
そのため、出張の合間や移動中の空き時間などを使って、9年分の情報をインプットすることができました。
もうひとつ、カリスマさんが残してくれた大きな財産があります。それは全国にいる800名のパートナーと情報共有ができる環境です。
一般的に見ると、社外とのやりとりはまだ、ウェブメールが中心かと思います。しかし、サイボウズでは、社外とのやりとりもグループウェアで行っています。使用しているのは、Garoonとkintone。Garoonには「ポータル」という機能があり、パートナーが情報にたどり着きやすいよう、誘導線を作っています。
さらに、kintoneには用途別のアプリが複数あり、それらのアプリでパートナーと情報共有しています。kintoneは、マウス操作だけでさまざまな用途のアプリを自由に作ることができます。
例えば私は、パートナーさんとの案件管理アプリ、資料保管アプリ、サイボウズへの相談ができるアプリなどを使用しています。このkintoneを使って、カリスマさんは大事な議事録や各種資料、案件情報もすべてアプリに残してくれていました。
ですから、保存先URLを私に送るだけで資料の引継ぎは終わり。「私の案件はここに入っているから、担当者名を変えておいてね」と。これだけで、案件の引継ぎも完了です。
グループウェアには、「パートナー側の引継ぎも楽になる」というメリットがあります。というのも、やりとりがすべてスレッドに残っているので、もしパートナー側の担当者が異動や退職になっても、新任の方を招き入れるだけで引継ぎが完了できるのです。
カリスマさんの置き土産は、今思い返してもすばらしいものでした。優秀なチームメンバー、メールを共有できる環境、グループウェアに集約された情報。さらに、パートナーと情報共有できるツールすら作ってくれていたのです。
今私は、メンバーの助けを借りながら、ツールを使って売上を伸ばすことができています。と、ここまで聞くと「お前は何もしていないじゃないか」と思われるかもしれません。そこで私は、カリスマさんが残してくれた財産を進化させようと考えました。
まずひとつは、売上状況をもっと簡単に見られるようにすること。チームメンバーと相談して、売上をグラフで確認できるようにしました。新規出荷の推移や県別の売上本数を示す円グラフなど、必要なときにすぐ表示させることができます。
さらに、全国にいる800名のパートナーに、有益な情報を発信できるしくみができないかと考えました。そこで作ったのが「お知らせアプリ」です。何か情報を発信したいときは、アプリに登録するだけで800名の方に通知が飛びます。
「でもそれって、メルマガと変わらないのでは?」と思うかもしれません。実はこのアプリ、アクセス解析も可能なのです。どんな情報が読まれているのか、営業にとって一番欲しい情報はどれか、分析できるんですね。
普通の営業であった私が、どうやってカリスマ営業リーダーから業務を引き継ぎ、売上を伸ばしてこれたのか。その秘訣は、「チームでワークする文化・風土づくり」と「情報共有ができる環境」だと思います。
人材が流動化する時代、ますます増えていくであろう引継業務について考えておくことはとても重要です。業務を属人化させず、あらゆる情報をチームで共有しておく。ITツールをうまく活用しながら、誰でもスムーズに引継ぎができる環境を作っておきましょう。
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