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お問い合わせへの回答は「ファンレター」――freeeユーザーサポート

顧客対応
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この記事の内容

    きめ細かな顧客対応で知られるfreeeのユーザーサポート

    中小企業向けクラウド会計ソフトでシェアNo.1を誇るfreee株式会社。個人事業主から法人まで、日々、数百件から数千件の問い合わせが寄せられるそうです。
    きめ細かな顧客対応で知られるfreeeのユーザーサポート。そんなユーザーサポートのオペレーター教育やマネジメントに携わっている、パートナー&ミッドユーザー事業本部のマネージャーを務める木下睦子さんに、メールで顧客対応する際の心構えやコミュニケーション術などについてお話を伺いました。

    5つの価値基準を徹底して理解する

    ――freeeのユーザーサポートの体制について教えてください。

    木下:会計ソフトと人事労務ソフト、税理士向け、大企業向けという4つのセグメントでユーザーサポートを運用しています。確定申告時期などの繁忙期は、部門全体で通常時の約10倍の人数体制を敷いています。

    製品の使い方といった基本的なことはもちろん、勘定科目の仕訳のやり方など会計の専門知識が問われる質問も多く寄せられています。

    ――現在の体制になったきっかけは何ですか?

    木下:元々はセグメントで分けていなかったのですが、お客様への情報提供の質と価値を向上させるために、現在の体制に変更しました。例えば、使われるソフトによって質問の内容は異なりますし、大企業向けではより製品知識が必要になります。このように、お問い合わせに的確な回答ができるよう、人員を最適化しました。

    ――ユーザーサポートのポリシーを教えてください。

    木下:弊社では、freeeらしい行動や価値判断を行うための要素として、価値基準を定めています。

    価値基準は、「本質的(マジ)で価値ある」「理想ドリブン」「アウトプット→思考」「Hack Everything」「あえて、共有する」の5つで、これらをユーザーサポートのオペレーターは徹底して理解するよう教育しています。

    中でも、「本質的(マジ)で価値ある」という価値基準は、ユーザーサポートに携わってこそ理解できる面が大きいです。そのため、エンジニアなど他部門の社員だけでなく、弊社の代表も一度はユーザーサポートを経験するようにしているんですよ。その上で気付いた点を、「あえて、共有する」ようにしています。

    また、「漏らさない、間違えない、放置しない」をモットーに、お客様の課題を最速で解決し、信頼を得ることを目指しています。何が根本的な課題であるかを的確に見抜き、品質の高い対応ができるよう心掛けていますね。

    ――ユーザーサポートは顧客にとって、どのような役割を果たしていますか?

    木下:お客様の事業で、利益を拡大していただけるよう、業務効率化を支える役割を果たしていると考えています。ですので、問題を素早く解決するのはもちろんのこと、何度も疑問に思われないよう本質を理解していただけるようにしています。

    ――一方、社内にとってはどのような役割を果たしていますか。

    木下:製品価値をさらに向上させる役割を担っています。

    ユーザーサポートには、製品の感想や不具合に関する情報も寄せられます。そのため、いただいた情報は専用のツールですべて社内に共有しています。緊急度の高い不具合であれば、迅速に対応するよう努めます。また、製品を改善する上で、採用すべきご意見についても対応を心掛けています。ご意見をいただければいただけるほど、製品の使い勝手も良くなっていくのです。

    言葉のプロとしての意識を持つ

    ――メールで問い合わせが来たときの業務フローを教えてください。

    木下:メールフォームに「お急ぎ」と「一般」のチェック欄を設け、その緊急度によってメール担当のオペレーターが順次対応しています。お急ぎの場合は、午前中にいただいたお問い合わせはその日中に、一般の場合は、3営業日以内に回答いたします。

    また、弊社では、メール以外にチャットでもお問い合わせを受け付けています。チャットはリアルタイムで会話できるというメリットがあり、お客様もすぐに疑問を解決したいという思いを抱かれているので、優先的に対応するようにしています。

    ――メールでの対応で気を付けていることはありますか?

    木下:メールの言い回しひとつで、解釈が変わってしまう可能性はありますよね。ですので、メール対応する者は、言葉のプロになることを徹底しています。社内研修では、ユーザーサポートで使われるさまざまな言葉を洗い出し、お客様に満足いただける表現について議論を重ねます。さらに、お客様に最高の支援をするために「ユーザーのファン」になり、ファンレターを書く気持ちでメールの回答を作成するのです。

    ユーザーサポートにおいては、オープニングでお客様の気持ちをつかみ、エンディングでもう一度相談したいと思っていただけるよう対応すべきだと考えています。そのためには、お客様の不安や疑問に寄り添い、絶対に冷たい印象を与えないよう配慮しなければなりません。

    例えば、ヘルプページに回答が記載されているようなお問い合わせが来たとします。その場合でもURLを送るだけでなく、必ずその都度文章を作成した上で回答するようにしています。

    ――回答文はテンプレート化しているのですか?

    木下:メールのテンプレートは、ほとんど作成していません。決まった作業フローをお伝えするときなど、ごく一部はテンプレートで対応していますが、お客様の疑問や課題は多種多様なので、テンプレートでは対応できません。

    業務効率化のために、テンプレートを作成することを考えた時期がありましたが、きちんと網羅するとなると、何百種類も用意しなければならず、回答時にテンプレートを探すほうが手間になると判明しました。アナログ的にはなってしまいますが、お客様に寄り添って、ゼロからメールの回答文を作成するほうが、結果的に顧客満足度の向上にもつながると感じています。

    ――そのほかに気を付けているポイントはありますか?

    木下:どのようなお問い合わせの内容なのかを判断する際に、細心の注意を払っています。メールは簡単に質問を投げかけられる分、「◯◯はどういうこと?」といったように、短い文章でお問い合わせいただくことも多くあります。

    そのため、できる限り文章から質問の本質を読み解き、場合によっては、お客様の許可を得た上で財務内容を確認し、用件の認識に齟齬がないかをすり合わせるようにしています。

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    93%の顧客がユーザーサポートに満足している

    ――クレーム対応ではどのようなことを心掛けていますか?

    木下:クレームは「製品の不満」と「ユーザーサポートの質」の2種類に分けられます。

    製品の不満に関するクレームでは、「この機能がないとfreeeを使っている意味がない」とご意見をいただくこともありますね。そのような場合、使い方に関する代替案を提示させていただくようにしています。しかし、それだけではお客様の不満を解決できないというときには、領域を超えて、お客様のことを第一に考えた回答を提示させていただくこともあります。

    ユーザーサポートの質に関するクレームでは、一般のご質問の場合、回答までの時間に不満を抱かれているケースが多いです。体制的に完全にご希望に沿うことは難しい部分もありますが、できる限り早急に回答してお客様にご満足いただくために、オペレーターの質は対応時間も含めて管理しています。

    おかげさまで、ユーザーサポートの満足度アンケートでは、93%のお客様に満足いただけるという結果になりました。

    ――今までに印象に残っているエピソードを教えてください。

    木下:個人事業主の方をサポートさせていただいた際、「安心して確定申告できた」「短い期間で無事完了した」とおっしゃっていただいたときが、非常にうれしいですね。
    また、「この機能が欲しい」と要望をいただいた後、実装したことを報告させていただくと、喜びの感想をいただけることがあります。その際も、お客様のためになれて良かったと実感します。

    会計は、確定申告といった明確なゴールがあります。そのため、「freeeのおかげで無事に確定申告ができた」と感じていただけることが、弊社が提供できる最大の価値だと考えています。

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