ハイブリッドワークとは、複数の勤務形態を組み合わせた働き方のことです。例えばオフィスに出社するオフィスワークと、自宅やシェアオフィス、コワーキングスペースで働くテレワークなど、従業員は必要に応じ適した勤務形態を組み合わせて選択できます。昨今、新しい働き方として注目され始めており、導入する企業も増えてきました。
2020年に猛威を奮った新型コロナウイルスの影響で、さまざまな業界で世界的にテレワーク化が進みました。しかし、完全なテレワークにはコミュニケーション面などのデメリットもあり、課題を抱くケースも少なくありません。そのため、2021年以降、少しずつオフィスワークを再開し始めています。
一方、テレワークに適した業務もあり、テレワークの継続を望む働く側の声も少なくありません。
出典:WeWork「コロナ禍長期化における働き方意識調査」
https://weworkjpn.com/news/news29/
WeWorkによる「コロナ禍長期化における働き方意識調査」では、週に1〜4日のいずれかはオフィスで働きたい人が全体で51.2%と、2人に1人がオフィスとテレワークを組み合わせて働くハイブリッドワークをしたいと考えていることがわかりました。
人それぞれが求める働き方が異なり、企業は働き方の多様化に合わせる必要性が生じたため、オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークが増加傾向にあるのです。
ハイブリッドワークを導入することで、どのようなメリットが得られるのか。反対に懸念される課題と共に、ここで詳しく解説します。
ハイブリッドワークには多くのメリットがあります。具体的に、3つのメリットを取り上げてご紹介します。
従業員の状況や業務内容に合わせて、働きやすい場所はそれぞれ異なります。オフィスの方が作業しやすい人もいれば、テレワークの方が集中して作業できる人もいます。ハイブリッドワークを導入することで、従業員それぞれの最適な環境で業務に従事することができ、高いパフォーマンスを発揮できるため、生産性の向上につながります。
例えば家事・育児などで予定のある日のみテレワークで対応するなど、多様なライフスタイルに対応できます。そのため、従業員のワークライフバランスが向上し、満足度が高まるため離職率の低下も期待できるでしょう。
全員が常にオフィスで働くのと比べ、オフィスに出社する人数が減ります。そのため、通勤に伴う交通費、オフィスのおける光熱費等の経費が削減可能です。また、出社人数に合わせてオフィスを縮小すれば、オフィス賃料等のランニングコストも押さえられます。
このようにメリットの多いハイブリッドワークですが、実際に導入するうえでは課題も残されています。
働き方が多様化することで、勤怠管理が複雑になる可能性があります。また、従業員それぞれの業務量や忙しさの把握も難しくなるかもしれません。
オフィスワークと比較すると、テレワークは評価者から働きぶりが見えづらく、評価が難しい側面があります。場合により、評価制度の見直し等が求められるかもしれません。
ハイブリッドワークでは、働く場所が多様になるため、従来通りのコミュニケーションが取りづらくなります。そのため、チームで業務状況を共有するには、ITツールを活用すると良いでしょう。
実際にハイブリッドワークを導入する方法について、順を追って解説します。
オフィス主体の働き方とテレワークを組み合わせたハイブリッドワークとでは、業務に適した環境が異なります。そのため、まずはオフィス環境やデバイス、ツール等をハイブリッドワークに合わせて整備しましょう。
例えば以下のような対応が求められます。
・オフィスの固定席を廃止してフリーアドレスを導入
・ノートPCやリモートデスクトップ等、遠隔での業務にも対応できるデバイスの準備
・各種ITツールの導入(コミュニケーションツール、勤怠管理システム、Web会議ツール等)
特に従業員間で情報共有やコミュニケーションが上手く行われていないと、業務効率が大きく低下しかねません。また、適切な評価においても業務状況の共有管理は欠かせませんので、環境整備には十分な検討が必要です。
テレワークの導入時には、万が一のトラブルに備えたセキュリティ対策が必須です。これは、ハイブリッドワークでも同じことが言えます。例えば、ノートPCの置き忘れや盗難、コンピューターウィルスの感染など、あらゆるリスクを踏まえて事前に対策を講じましょう。
スムーズな業務遂行には、メンバーがお互いの状況を把握できるようハイブリッドワークの運用ルールを決める必要があります。勤務予定や業務進捗の報告・共有、あるいは緊急時の対応などについて、手段やルールを決めましょう。
ハイブリッドワークを早くから取り入れ、積極的に推奨しているサイボウズ株式会社の事例をご紹介します。
10年前からテレワークに取り組み始めたサイボウズですが、その理由は人材確保という課題にありました。当初は残業も多い昭和的な働き方が根付いており、全員9時の出社が義務化されていました。しかし売上向上や事業拡大には思うように至らず、一方で離職率は28%という高い水準にあったのです。採用活動も苦戦し、人材確保は大きな経営課題となっていました。
そこでサイボウズは6年間の育休制度を策定し、出産をきっかけとした退職者が長く働けるよう整備を行いました。さらに選択型人事制度を取り入れ、現在はハイブリッドワークにより100人100通りの働き方が選べる体制になっています。その結果、子育てしながら働きたいメンバーや地方に残って働きたいメンバーなど、より多様な人材が活躍できる会社に生まれ変わり、働きやすい会社としても注目を集めるようになりました。
▼参照:離職率28%、採用難、売上低迷......ボロボロから挑戦した「ハイブリッドワーク」へのサイボウズの10年史
働き方が多様化する中、オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークを導入する企業が増えつつあります。ハイブリッドワークは不要なコストの削減や社員の満足度向上など、多くのメリットを与えてくれるでしょう。しかし管理が煩雑になったり、適切な評価が行えなくなったりする懸念もあります。
ハイブリッドワークの導入を成功させるには、さまざまな事態を想定したうえで事前準備や対策が欠かせません。メリットと課題とを理解し、必要な環境整備やツール導入を検討しましょう。サイボウズ製品を使って、テレワークとオフィスワークを組み合わせられる、御社なりの100人100通りの働き方に移行してみませんか?
ハイブリッドワークには、適したツールの選択が不可欠です。数えきれないほど多くのITツール、クラウド製品が存在する中、サイボウズ製品が選ばれる理由とは?続きを読む