新規顧客を開拓するためには、現在の自社の商品やサービスがいかなる経緯を経て顧客に利用されているのか、そのメカニズムを明らかにしましょう。どのような属性を持つ顧客が、どのような経緯で自社を利用しているのかが分かれば、その支持層と同様の性質を持つターゲット企業、つまり「潜在顧客」が見えてきます。
そのためには、既存顧客が市場全体のなかで属しているグループについて考えてみましょう。この分析方法を「顧客セグメンテーション分析」と呼びます。
顧客の特徴や類似性を分析するための指標はさまざまです。例えば顧客それぞれの「業種や業態」「事業規模」「会社所在地」「購入や契約を決定する担当者のポジション」を分類することは難しくないでしょう。これらの要素をグラフや図で表すだけでも、自社の大まかな支持構造を把握することは可能です。
しかし、新規顧客の開拓にあたっては、その分析だけでは十分とは言えません。「利益率」「購入頻度もしくは契約期間」「購入や契約までの行動の履歴」「プロモーションに対する反応パターン」など、考えられる範囲の指標をすべて試し、分析結果を見直しながら検証を続ける必要があるのです。
そして、「Segmentation(セグメンテーション)」による支持構造の分析結果から、ターゲット層である潜在顧客を割り出し「Targeting(ターゲティング)」、その層に対しての自社の商品やサービスの立ち位置「Positioning(ポジショニング)」を設定しましょう。この手法は一連の流れの頭文字をとり「STP分析」と呼ばれています。STP分析とは、「どのような立ち位置で自社および商品を市場に訴求していくか?」について分析する手法です。
昨今、営業部門の新たなスタイルとして注目されている「インサイドセールス」。その目的や意味から、導入と活用のポイントについてわかりやすく解説します。
ターゲットを決めた後は、商品やサービスを発見していただくための手段を考えなければいけません。その際、最も意識していただきたいのは、ターゲット特性を踏まえた媒体を選択するということ。例えば、ターゲットとしている企業の担当者が、丸の内で働くビジネスマンだとすれば、彼らが手に取る可能席が高い東京駅周辺で配布されるフリーペーパーなどが重要な媒体になるでしょう。
訴求力という点では、確かにテレビ、ラジオ、新聞、雑誌を媒介とする「マスメディア広告」は依然として強い影響力を持っていますが、やはり最近の「インターネット広告」の進歩も目覚ましいものがあります。
検索エンジンに入力したキーワードと連動して表示されるリスティング広告、ブログや個人サイトを介した成果報酬型のアフィリエイト広告をはじめ、アドネットワーク広告、ソーシャルメディア広告、バナー広告、動画広告、メール広告など、その種類はさまざまです。ここでは既存の顧客が「どういった手段で情報収集をしているのか」を指針に、潜在顧客にとって身近な媒体を組み合わせて比較検討することが大切になります。
そして、広告を介して最初は名前を覚えていただくことを第一に考えましょう。広告の選択肢が増えた現代ですが、聞き覚えのある名前に親近感を覚えるという人間の性質は、今も昔も変わらないものです。
潜在顧客に名前を知っていただけたのなら、次はその魅力を伝える必要があります。既存の顧客にアンケートなどを行い、自社の商品やサービスを選んだ理由を探れば、それに準じたアプローチ方法を考えることは難しくないでしょう。ただし、契約や購入をした場合にどのようなメリットがあるのか、顧客の立場からの視点を忘れてはいけません。
また、競合他社と比較した場合、必ずしも自社に明確な優位性があるとは限らないでしょう。そして優れた商品やサービスであっても、評判を集めてしまえば、すぐに類似したものが他社から登場するのも世の常です。
そこで重要となるのが、顧客に共感や親近感を抱いていただくこと。商品やサービスの魅力とは関係ない自社の情報を伝え、意外な面を知ってもらうことで競合他社との差別化を図るのも効果があります。企業であっても購入や契約を決定する担当者は人間ですから、契約や購入につなげるために関係づくりは欠かせない要素なのです。
最後に、既存顧客を維持するよりも新規顧客を開拓するコストは高くつくものです。そこで潜在顧客を獲得するために行った分析や、セールスプロモーションのなかで得たノウハウを、既存顧客の満足度向上にも役立てるよう心がけましょう。
新規と既存の顧客双方へのメリットを生み出せば、必ず企業価値を高める良い循環が生まれます。一朝一夕では達成できない難しいテーマですので、試行錯誤を繰り返しながら少しずつでも理想的な仕組みに練り上げてください。
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