メールワイズ by サイボウズ

メール指導法はチェックの仕組み化が鍵――サイボウズ品質管理チーム

顧客対応
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    メールワイズは、新人指導と限られた人数での対応を両立するツール

    サイボウズでは、クラウドで使えるグループウェアや業務改善サービスを数多く提供しています。製品を導入する会社は年々増えていますが、それに伴って増えるのが利用者からの問い合わせ。限られた人数で、お客様にきちんと対応しなければなりません。そこで重要となるのは、新人に対するメールの指導法です。

    最近では、LINETwitterなど、簡易的なテキストコミュニケーションが多くなっており、「ビジネスメールの書き方がわからない」という若者も多いようです。

    サイボウズでは、メールの書き方をどのように指導しているのでしょうか。新人や部下に対するメールの指導法とメールワイズの利用法について、サイボウズ株式会社の古谷優依に聞きました。

    お客様の立場に立ったメールを

    ――サイボウズ製品に対する問い合わせは、月に何件くらいありますか?また、何人でサポート対応していますか?

    古谷:電話とメールを合わせると、月に10,000件くらいですね。現場で対応しているメンバーは、上長を除くと50人以下です。

    ――すごい問い合わせ数ですね。古谷さんはどのような業務を担当されていますか?

    古谷:入社してからずっと、メールワイズというグループウェアのテクニカルサポートを担当していました。今は、すべてのサイボウズ製品に関するお客様対応の品質管理を行っています。

    ――「お客様対応の品質管理」というのは?

    古谷:サポート部門では、回答メールを作成した担当者がそのまま送るのではなく、上司がチェックしてから送信する体制をとっています。その際、決められたチェック項目に沿って確認することで、お客様対応の品質を管理しているのです。

    ――新人や部下に対して、どのようなメールの指導をしていますか?

    古谷:社内のナレッジとして、サイボウズがメールサポートで大切にしているポイントを列挙したマニュアルを作成しています。例えば、「傾読」や「お客様を前向きに支援する姿勢」、「パーソナライズな対応」などを解説した資料があるので、それを使って教えています。

    ――マニュアルの中身について、差し支えない範囲で教えてください。

    古谷:お客様の文章すべてに目を通し、すべて理解する必要があることを伝えています。意識しないと回答しやすいように飛ばし読みしたり、都合の悪いことはスルーしたりということが無意識に起こりやすいです。

    文章の流れも大切です。問い合わせに対しては、まずお客様が一番知りたい内容を先に書きます。対応できるのかできないのか、できない場合でも何か提案できることはないかを考える。「できないです、ごめんなさい」で終わらせないように指導しています。

    また、お客様一人一人に合わせた文章になるように内容や文言を適宜修正し、お客様の感情に配慮したテンプレート感のない対応とすることも大切にしています。

    構成の部分でも、お客様にとって読みやすい文章になるように、「インデントをそろえる」「表記ゆれをなくす」「連続して同じ言い回しを使わない」「横に長くなりすぎないように1行70文字程度で改行する」など、一定の基準を設けています。ただ、これらはあくまで目安であり、厳密に守らなければいけないというわけではありません。

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    先輩が書いたメールを参照しながら、回答スキルを身に付ける

    ――メールの場合、電話と違って意思疎通が難しいことがあるかもしれませんが、具体例や工夫しているポイントはありますか?

    古谷:製品トラブルのメールをいただいた場合、確認事項の数は目安として6個程度としています。例えば、「エラー番号は?」「全員で同じようなことが起きますか?」「受信はできますか?」といった、お客様に聞く質問の数に一定の基準を設けたのです。あまり多くなっても確認するのがたいへんだし、逆に少ないとリターンが増えますから。

    もちろん、お客様の状況によってとらえ方は変わります。「確認事項が多すぎる」と言われることもありますし、「確認すべきすべての項目を送ってほしい」と言われることもありますので、そのあたりは難しいですね。場合によってはFAQ(よくある質問)へのリンクを張って説明するなど、メール自体が長くならないような工夫もしています。

    ――メールだと、お客様の意図が読み取りづらいケースもありますよね。

    古谷:よく問い合わせが来るお客様の場合は、過去の対応履歴を参照します。メールの意図がつかめないときは、履歴を見て「こういう目的で使ってらっしゃるのか。じゃあ、こういう意図かな」と推測して返信することも多々あります。

    トラブルでお客様が急を要する場合は、メール内容が端的になっていたり、背景を省略してしまったりすることもありますよね。「何を求めているのか、よくわからない」というときは、過去のやりとりも参考にして、お客様像を掴んでいく必要があります。

    ――起きているトラブルの背景まで読み取るわけですね。

    古谷:お客様が怒っている場合は、こちらから質問を聞き返すことでさらに怒らせてしまい、クローズまで遠のくこともあります。「とにかく早く対応してくれ」と言われても、使用している背景や目的を教えてもらえないと、適切な回答ができず堂々巡りになってしまう可能性もあるでしょう。その場合は、過去のやりとりなど含めて可能性の高い対処を考えて複数提示します。

    ――過去のメール履歴は、どのように確認するのでしょうか?

    古谷:お客様とのメールのやりとりは、チームで一元管理できるツール、メールワイズを使用しています。メールワイズには、お客様から来たメールはもちろん、こちらから送信したメールも溜まっていきます。新人であっても、先輩方が送ったメールの過去履歴を探すことができるんです。メールの履歴は、マニュアルを補完する要素もあるといえますね。

    部下のメール指導にも役立つメールワイズの機能

    ――新人にビジネスメールの書き方を教える場合、どのような手順で指導するのでしょうか?

    古谷:マニュアルとともに、研修用のメールワイズを使用しています。まずはダミーの問い合わせに対して返信を書いてもらい、上司がチェックします。その際、過去の履歴を検索しても構わないとしています。

    そうやって、検索方法や回答スキルを身に付け、実際にメールを書いてみる。それでも、やはりポイントがずれていたり、わかりにくい部分があったりするので、細かくチェックしながら教えていく体制をとっています。

    ――メールワイズには、新人や部下のメール指導に役立つ機能がありますが、どのように使っていますか?

    古谷:メールを返信する際、かならず上司がチェックするのですが、そのまま直して送るわけではありません。メール11通に対してコメントを残せる機能を使って、「ここはこういう風に直そう」と、書いた本人へ差し戻します。そのコメントを見て、本人が修正して送信する流れにしているんです。

    コメントに過去履歴のリンクを張り、「これを参考に書いてみて」と指示することも多いですね。

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    ――メールの返信内容について、上司と部下がコメントでやりとりを行うわけですね。

    古谷:あとは、メールの雛形を作れる機能もあります。お客様の会社名、お名前、挨拶、締めの文章、署名など、事前にテンプレートを用意しておけば、返信の際に自動的に入るよう設定できます。定型文がセットされるので、新人であっても大まかな形が崩れることなくメールが書けるはずです。

    テンプレートは問い合わせごとに作ることができ、内容に応じて必要なテンプレートが自動的に入るしくみになっています。例えば、メールの件名に「キャンペーン」というキーワードが入っていれば、キャンペーンに対する返信用のテンプレートが自動的に入るといった使い方ができます。

    また、件名以外にも、メールアドレスや本文中のキーワードなど、さまざまな条件から、適切なテンプレートを自動的に差し込むことが可能です。

    ――かなり便利な機能ですね。

    古谷:元々メールワイズは、どうすれば問い合わせ対応を効率的に行えるのか考えながら、社内向けに作成したツールです。というのも、かつてサイボウズ製品の注文が急速に伸びた時期、お客様からの問い合わせも増え、メンバーが対応しきれずキャパオーバーの状況に陥っていたんですね。

    ですからメールワイズには、私たち自身が必要な機能が実装されているんです。

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    チームで問い合わせ対応できるツール

    ――新人への指導以外で、メールワイズの便利な機能があれば教えてください。

    古谷:「お知らせ欄」という、掲示板のような形でメンバーに知らせる機能があります。共有したい社内のナレッジがあれば、お知らせ欄で全員に周知できます。

    あとは、営業日ごとの区切り線が表示できます。サポート部門では、「必ず2営業日以内に返信する」という決まりがあるので、メールが届いた日時が重要です。メールワイズでは区切り線が明確に表示されるので、どれを優先的に処理しなければいけないのかがひと目でわかります。

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    ※ サンプルデータを利用した製品デモ画面です。弊社サポートで実際に利用している画面とは異なります。

    ――1対1ではなく、複数のメールを複数人で処理するための機能が装備されているのですね。

    古谷:一般的なメーラーだと、おもに使うのは受信画面と送信画面ですよね。しかし、メールワイズは複数人で共有するため、共有専用の処理画面を持っています。例えば、10件メールを受信して、4件が処理された場合、残った6件だけをフィルターして表示することができるのです。

    残っているメールも、誰がどういう状況まで処理しているか、フラグがセットでついています。処理する人も管理する人も、メールの進捗状況と残件数がすべて把握できるしくみになっています。

    このようにメールワイズは、新人や部下に対するメール指導とともに、チームで問い合わせ対応する場合にも非常に有効なツールだと、自信を持って言えますね。

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