アールスリーインスティテュートの金春(こんぱる)利幸と申します。
営業といえば、メンバー間で売上を競い合うイメージが強いかもしれません。しかし数年前から、「インサイドセールス」というチーム営業の手法が注目され始めました。昨今はコロナ禍の影響で、対面での営業活動が難しくなり、より関心が高まっています。
弊社は「gusuku Customine」(以下、「カスタマイン」)というサービスを提供しており、その営業活動にインサイドセールスを取り入れました。ここでは、「Cybozu Days 2020」で発表した内容を基に、どうやってインサイドセールスを実現したのか、チーム営業の導入過程とITツールの活用方法をご紹介します。
この資料では、これらのことを紹介しています。
・数字で見るメール利用の実態
・複数人でのメール対応の問題が起こる原因
・複数人でのメール対応問題の解決のヒント、メリット
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かつての営業は、受注していただけそうなお客様のもとへ足しげく通ったり、飛び込み営業をしたりして注文を取っていました。しかし、多くの手間と時間がかかるため、効率はかなり悪いです。
ここで登場するのがマーケティングです。マーケティング担当者は、イベントなどでリード(見込み客)を獲得し、それを基に営業が訪問を行います。これは、飛び込み営業よりは効率が良いものの、足で稼ぐことに変わりありません。
そこでインサイドセールスという考え方が出てきました。インサイドセールスは、電話やメールでリードを育て、成約の確度を高めます。興味を持っているリードに対し、さらに詳しく製品やサービスを紹介して「欲しい」「買いたい」と思っていただくのです。
初めての相手や新しい取引先にメールを送る際、失礼がなく好印象を与えるための正しい営業メールや引き継ぎメールの書き方・マナーを、すぐに使える例文とともにお伝えします。
図で説明しましょう。横幅がお客様の数です。マーケティングが集めるリードのお客様の考えは、「何となく」「少し興味がある」「ぜひ買いたい」など幅が広いため、数も多くなっています。そこで、インサイドセールスが絞り込んでいくのです。確度が高くなったお客様を営業に渡せば、商談をクロージングにつなげやすい。これが、インサイドセールスの役割です。
それでは、カスタマインのインサイドセールスは何をしているのか、具体的にご説明しましょう。
まず、フリープランに登録しサインアップしていただいたお客様には、インサイドセールス担当者が連絡します。カスタマインに慣れていただいて「なんか便利だな」と思っていただき、検証プランへの移行をおすすめしていくという流れです。
検証プランは2ヵ月間限定なので、こまめにお電話をしてやりたいことが実現できているか確認しつつ、有料プランをおすすめしています。
今はコロナ禍なので、対面営業が難しくなっている状況です。そのため、なるべくインサイドセールスだけで完結させようとしています。
インサイドセールスを立ち上げた当初、まずはメンバーの意識を合わせるために、「自分たちは何者なのか」と考え直してみました。
セールストークの電話を嫌だと感じる人は多くいます。突然電話がかかってきて、製品やサービスをおすすめされても「迷惑だ」と思う。一方で、特にアプローチしていないのに契約してくれるお客様もいます。
商売とは、「何かを提供して、その対価をいただく」というのが原則です。ではその「何か」とは?
考え抜いて出した結論は「課題解決」でした。お客様が抱えている課題を解決し、その対価をいただくことが商売の本質だと考えたのです。
弊社が提供するカスタマインは、プログラムを書かずに「kintone」のカスタマイズができるツールです。つまり、継続的な業務改善を実行できることが弊社のできる課題解決といえます。
営業がやるべきなのは、お客様に課題を解決するすべ、つまり製品を知っていただくこと。売上はその結果に過ぎないと考えたのです。
お客様の課題には「顕在課題」と「潜在課題」がありますが、2つを比べると、圧倒的に潜在課題が多くなります。
顕在課題は表に見えているので、解決できるかどうか簡単に示すことができます。しかし潜在課題は、お客様も気付いていない課題ですから、かなり丁寧にケアしないとわかりません。
例えば、「そんなにおなかがすいていない」という人に、ご飯を食べてもらうのは難しいですよね。そこで、仮説をいくつか立ててみます。
(1)体調が悪くて食欲がない
(2)好きな物なら食べられる
(3)実はおなかがすいているのに言わない
このように、お客様をケアするためには、いろいろな仮説を立てて、潜在課題を明らかにしていかなければなりません。
潜在課題に気付くためには、さまざまな仮説をお客様に投げかけてみる必要があります。
いわゆる「スーパー営業担当者」は、お客様の情報をどんどん吸収し、それをベースに仮説を立てています。しかし、弊社のインサイドセールスにアサインできるのが新入社員だけという状況でしたので、多面的な仮説を立てるのは限界がありました。であれば、サポートできるメンバーの力を結集し、チームで営業するしかありません。
インサイドセールス専任の新入社員に対しては、徹底的な仮説出しと情報のインプットを行いました。そのためには、お客様のことを知り、データを集約する必要があります。
また、社内における活動・行動の共有も重要です。さらに、チームメンバー間のコミュニケーションを円滑にするしくみづくりも必要でした。
改めて、カスタマインのプラン構成を見てみましょう。
まずは、マーケティングによってフリープランに登録していただく。次に検証プラン、有料プランへと移っていただく。インサイドセールスが担う仕事は、図の矢印の部分です。
インサイドセールスは、お客様がカスタマインにサインアップすると、数分後に電話をかけます。電話口でkintoneの簡単なカスタマイズをいっしょにしていただき、「こんな感じでやればできますよ」とサポートする。
その際、登録していただいた理由や困っていること、どのように使いたいのかなどをヒアリングし、おすすめの利用方法をご紹介します。
お客様からよく聞くのが、「使いたいけど、上司に説明ができない」という声です。そのため、稟議用の資料も用意しました。できるだけスムーズに決済が下りるようサポートするのも、インサイドセールスの仕事というわけです。
インサイドセールスは、製品を決して売ろうとはしていません。弊社のツールを使ってお客様の課題を解決する。その結果として契約していただく。
つまり、チーム全員が「お客様に小さな成功体験を繰り返していただく」ことにこだわっています。
チーム営業に必要な3要素は、「お客様のデータの集約」「徹底的な行動の共有」「チーム内のコミュニケーション」です。
これらを実現するためには、ITツールが必要不可欠でした。そこで使用したのが「メールワイズ」と「kintone」です。
通常、メールは個人のメールボックスに届き、各自でフォルダに整理します。しかし、個別管理では、お客様から来たメールを誰がどう対応したのかわかりません。
メールワイズでは、届いたメールは共有メールボックスに届き、全員が同じ画面を見られる状態になります。「このメールは私が返信しましたよ」とステータスを管理でき、チーム内の対応状況が明確になる。それが、メールワイズの大きなメリットです。
一方、kintoneは、業務に必要なシステムを簡単に作ることができるツールです。機能を拡張し、業務に合わせてカスタマイズできます。
この図が、弊社で構築したツールの概要です。kintoneの「セールス管理」にはお客様のカルテのような情報、「活動履歴」には営業活動の情報を入れています。また、メールワイズはkintoneと連携しています。
また、インサイドセールスは頻繁に電話をかけるため、「Amazon Connect」というサービスを使っています。kintone上でボタンを押せば電話をかけることができ、さらに会話は自動的に録音され、文字起こしされてkintoneに戻ってくる。このようなシステムを作りました。
それでは、弊社が集めているお客様の情報を3つに分類してみましょう。
(1)基本情報(名前、住所、キーパーソンの情報、プランの履歴、kintoneの利用状況など)
(2)お客様がアクションを起こした情報(ログイン頻度、カスタマイズの作成数、実行回数など)
(3)弊社の行動によって残る情報(メルマガの配信状況、メールや電話の履歴、フィールドセールス履歴など)
これらの情報は、すべてkintoneの中に入っています。
お客様に対し、メールを送る際には、一からメールの文面を考えて書くのは効率が悪いため、テンプレートを使います。メールワイズとkintoneを連携させれば、アプリ上にメールのテンプレートが登録でき、クリックするだけでメールを送ることが可能です。
また、「この文面は、お客様に刺さらないよね」というテンプレートは、どんどんアップデートしていきます。
さらに、kintoneにはコメント欄があるので、有効活用しない手はありません。私は、セールス管理や活動履歴の情報をチェックして、気になることがあれば、「たくさんチャットが来ているから使ってくれそう。カスタマイズの実行回数を見ておいて」というように、すぐに担当者へコメントを入れるようにしています。
チーム内でコミュニケーションをとる場合には、どのような点を注意すればいいでしょうか。
この図は、弊社でどういったコミュニケーションが行われているかを表したものとなります。真ん中(黄色)がアサインされた新入社員、周りにいるのがメンバーです。
チームメンバーは、新入社員にどんどんインプットします。例えば、「◯◯さんは電話を嫌がるので、連絡しなくていいよ」「多分△△で困っていると思うので、Web会議を提案してみよう」「この業界だったら、□□の事例を紹介してみたら?」と伝えています。
ここで重要なのは、更新されたタイミングですぐにインプットすることです。なぜなら、新入社員以外のメンバーは、ほかの業務を並行しており、気付いたときに伝えないと忘れてしまうからです。
これまでご紹介したツールは、一気に作ったわけではありません。
まず、kintoneに活動履歴を入れるところからスタートして、メールワイズの連携、Amazon Connectの導入と改良しています。kintoneの良い点は、徐々にアプリを育てていけるところです。
御社がもし何もない状態なら、まずメールワイズから導入してみてはいかがでしょうか。チームでメールを共有する意味が理解できるはずです。その後、「もっと情報を蓄積したい」となれば、kintoneをカスタマイズしていくといいでしょう。
最後に、これからの営業がすべきことを、3つのポイントにまとめました。
「売る方法ではなく、自社の製品が何をどう解決できるのか整理し、お客様に提示する」「多様なメンバーがもっと力を発揮できるチームづくりを考えていく」、さらに、「チームがスムーズに動けるためのツールを用意し、改善し続ける」。この3つが重要ではないかと考えています。
コロナ禍の影響で、営業活動に戸惑っている人は多いのではないでしょうか。従来の営業手法を見直しつつ、ITツールをうまく活用し、チームでインサイドセールスを実現する環境を検討してみてください。
このブックでは、これらのことを紹介しています。
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