ドメインという言葉を聞いたことはあるでしょうか。おそらく、多くの人が一度は耳にしたことのある単語だと思います。しかし、「ドメインとは何か」という問いに答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか。実は、皆さんが日常的に使っているメールにも大いに関係があるものなのです。
ここでは、ドメインの基礎知識に加えて、メールの送受信にドメインがどのように関係しているのかについて解説します。
まず、ドメインの概要について解説します。ドメインとは、簡単にいえば「インターネット上の住所」です。この概念を理解するために、インターネットとWebサイトの関係について考えてみましょう。
お手元のスマートフォンやパソコンからWebサイトにアクセスしてみてください。さて、そのWebサイトは「どこ」に存在しているのでしょうか?インターネットが「街」だとすると、Webサイトは「家」にあたります。私たちはスマートフォンなどの機器を通じて、インターネットという街に存在するWebサイトという家を訪れているのです。
家を訪れるためには住所が必要です。それはWebサイトも変わりません。そこで、Webサイトにインターネット上の住所が割り当てられているのです。この住所を「URL」と呼びます。ドメインはこのURLの一部に使用されています。例えば、本サイトのURLは「https://mailwise.cybozu.co.jp」ですが、このうち「cybozu.co.jp」がドメインです。
本来、インターネット上の住所は数字の羅列である「IPアドレス」で表されます。しかし、数字の羅列ではわかりにくいため、私たちに理解しやすいように変換したものがドメインというわけです。
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ドメインはURLだけでなく、メールアドレスにも使われています。「◯◯◯◯@cybozu.co.jp」というメールアドレスを例に挙げるなら、@の後ろに付くのがドメインです。この場合もURLと同様に、ドメインはそのメールアドレスの「住所」を表しています。
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メールに使用されるドメインを理解するために、メールの送受信の流れをもう少し詳しく解説します。そもそもメールとは、どのようなしくみで送信され、相手に届くのでしょうか。
メール送受信のカギを握るのはメールサーバーです。さらにメールサーバーは、「送信サーバー」と「受信サーバー」に分かれており、現実世界でいう郵便局のような役割を担っています。
送信されたメールはまず、「SMTPサーバー」と呼ばれる送信サーバーに届きます。メールを受け取ったSMTPサーバーは、ドメインの情報を管理する「DNSサーバー」へ問い合わせを行い、宛先となっているメールアドレスのドメインから、送り先となるIPアドレスを割り出して、受信サーバーである「POP3サーバー」や「IMAPサーバー」といったサーバーへとメールを転送します。
メールは、このようにして相手に届けられるため、メールの送受信のしくみにドメインが重要な役割を担っているわけです。
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続いては、ドメインの種類についてより深くご説明していきます。「独自ドメイン」と「サブドメイン」について解説していきましょう。
独自ドメインとは、利用者が独自に名前を決めて取得できるドメインです。例えば、サイボウズ株式会社のWebサイトのURLは「https://cybozu.co.jp」ですが、この「cybozu.co.jp」もサイボウズが取得した独自ドメインです。
独自ドメイン、は世界に1つしか存在できません。まったく同じドメインが2つ存在してしまうと、Webサイトへのアクセスやメールを送る際に困りますから、ドメインが1つしか存在できないのは当然といえます。
なお、独自ドメインの取得は早いもの勝ちとなります。企業だけでなく個人でも取得できますし、企業も個人も扱いは同じです。先に個人に取得されたドメインは、たとえ大手企業であっても無理矢理奪うことはできません。欲しい独自ドメインがある場合は、他者に取られる前に取っておくことが大事です。
サブドメインとは、独自ドメインを細分化したドメインのことです。サブドメインは独自ドメインの前に「◯◯◯◯.」をつける形で割り当てます。
サブドメインがよく用いられるのは、独自ドメインの中で用途を分けてWebサイトを作りたいときです。サイボウズでは、提供するサービスごとにサブドメインを作成してわかりやすく分類しています。
例えば、サイボウズ株式会社のURLは「https://cybozu.co.jp」ですが、サイボウズが提供する「メールワイズ」のサービスサイトのURLは「https://mailwise.cybozu.co.jp」というサブドメインとなっています。
ここまでご説明した内容を基にドメインを眺めていると、もうひとつ気になることが出てくるのではないでしょうか。それが、「cybozu.co.jp」の「co.jp」の部分です。「cybozu」はサイボウズを表す文字列ですが、この「co.jp」は何を意味しているのでしょうか。
「cybozu.co.jp」は「.」で区切られていますが、このうち、最も右の「jp」を「トップレベルドメイン」といいます。右から2番目の「co」がセカンドレベルドメイン、そして右から3番目の「cybozu」がサードレベルドメインです。ちなみに「cybozu.com」のように2つにしか分かれていない場合は、「com」がトップレベルドメインで「cybozu」がセカンドレベルドメインとなります。
実はこの「co.jp」や「com」は、そのドメインの「種類」を表しているのです。種類は大きく、「分野別トップレベルドメイン」と「国コードトップレベルドメイン」の2つに大別されます。
分野別トップレベルドメイン(ジェネリックトップレベルドメイン、gTLD)は、そのWebサイトの役割を表したドメインです。分野別トップレベルドメインには以下のような種類があります。
ドメインの種類 |
特徴 |
com |
おもに企業がサービスサイトなどで用いるドメイン |
net |
おもにネットワークサービスの提供者が対象のドメイン |
org |
おもに非営利団体が対象のドメイン |
info |
おもに情報の提供者を表すドメイン |
biz |
おもにビジネスを表すドメイン |
これらの分野別トップレベルドメインは、基本的に誰でも取得できます。ですから、必ずしも「com」だからといって企業のWebサイトというわけではありません。個人による趣味のWebサイトを「com」ドメインで公開していることもよくあります。
国コードトップレベルドメイン(ccTLD)は、国や地域を意味するドメインであり、基本的にその国や地域に居住していなければ使用できません。「jp」なら日本、「eu」ならヨーロッパ、「us」ならアメリカ合衆国です。
国コードトップレベルドメインを見ることで、そのWebサイトがどの国で制作されたものか、あるいはどの国に向けて制作されたものなのかがわかります。
なお、日本の国コードトップレベルドメイン「jp」は、属性型JPドメインや汎用JPドメインなどに分けることができます。
国コードトップレベルドメインである「jp」の前に、セカンドレベルドメインとして特定の文字列を入れたドメインが属性型(組織種別型)JPドメインです。
「jp」は国コードトップレベルドメインなので「日本」を意味しており、その前につく文字列、例えば「co」や「or」は、ドメインを持つ組織の種類を表しています。属性型JPドメインには以下のような種類があります。
ドメインの種類 |
特徴 |
co.jp |
日本国内で登記している企業が登録可能なドメイン |
or.jp |
社団法人や医療法人といった特定の法人組織が登録可能なドメイン |
ac.jp |
高等教育機関や学校法人が登録可能なドメイン |
go.jp |
日本の政府機関などが登録可能なドメイン |
ne.jp |
日本国内のサービス提供者によるネットワークサービスが登録可能なドメイン |
属性型JPドメインは、分野別トップレベルドメインと異なり、個人など誰でもが取得できるわけではありません。ですから、「co.jp」や「go.jp」といった属性型JPドメインを見ることで、そのWebサイトがどういった組織なのかを正しく判断できるといえます。
「co.jp」という形をとらず、単なる「jp」のみのドメインは、汎用JPドメインといいます。汎用JPドメインは特定の属性を表すものではなく、個人でも取得可能です。
ドメインとは、インターネット上の住所にあたる文字列であり、Webサイトへのアクセスやメールの送受信に欠かせないものです。独自ドメインと、独自ドメインを細かく分けたサブドメインは、用途に応じて使い分けられています。
また、ドメインは、トップレベルドメイン、セカンドレベルドメイン、サードレベルドメインに分解でき、トップレベルドメインは分野別トップレベルドメイン、国コードトップレベルドメインといった種類があります。
一口にドメインといっても、これだけ多くの種類があり、それぞれ意味するところは異なるのです。本記事でご紹介した知識を身に付けておくことで、ドメインからさまざまな情報を得られるでしょう。
これからWebサイトにアクセスする際やメールを受信した際には、ドメインにも注目してみてください。
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