価格改定は、相手に与える影響が少なくありません。だからこそ、誠実に話を進めていくことが必要です。価格改定そのものは、お客様へ商品やサービスの提供を継続するために、やむを得ない場合があります。一方で、値上げはお客様の負担増を意味するため、お客様離れを引き起こしかねません。価格改定のお知らせメールを送る際は、以下の点に配慮しましょう。
価格改定は、事前に伝えないと信頼を失います。何の説明もないまま価格が改定されていたら、誰でも嫌な気持ちになります。特に値上げの場合は尚更です。昨今、ステルス値上げが話題になり、実質の値上げとして炎上した事例もあります。
製品やサービスの価格改定を実施する際には、プレスリリースを出す、Webサイトで告知をするといった形で公にお知らせするとともに、メールや書面でも個別にお知らせをすることをおすすめします。
価格改定のお知らせメールは、数ヵ月前、遅くとも1ヵ月前までに送るのが基本です。お客様のほうでも、検討する時間や関係各所への対応依頼など、価格改定に対する準備があります。その時間をしっかりと取れるようなタイミングでなるべく早めに送りましょう。
価格改定には、必ず理由があります。どのような理由から価格改定が必要なのかを具体的に伝えましょう。原材料の値上げなのか、エネルギー価格の高騰なのか、商品やサービスの品質を維持するためなのかなど、理由を明確に記します。
曖昧な言い方だったり、事実を隠そうとしたりすると、お客様に不信感を抱かせてしまう可能性があります。お客様の立場に立ち、やむを得ない状況にあると納得してもらえるように、誠実に理由を伝えることが重要です。
この資料では、これらのことを紹介しています。
・重要なメールマナーのポイント
・よく使う挨拶・結び・お詫びフレーズ集
・シーン別のメール文例と解説
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価格改定のお知らせメールの基本的な構成、書き方の3つのポイントを見ていきましょう。
価格改定をお知らせするメールは、以下7つの要素で構成されています。
・件名
・宛名
・挨拶・名乗り
・要旨(日頃のお礼と価格改定のお知らせのお詫び)
・価格改定の経緯
・今後の方針(価格改定日、旧価格と新価格、影響等)
・価格改定に対する理解を求める
・署名
この中で特に重要なのは、「件名」「価格改定の経緯」「今後の方針」の3つです。詳しく見てみましょう。
「価格改定」や「価格の見直し」などの言葉を用いて、価格に変更があると伝わる件名にしましょう。
価格改定の経緯では、最善を尽くしたことを伝えましょう。やむを得ない値上げであることや値上げ額は最低限に留めていること、業界全体や世界的な値上げ傾向にあることなども経緯に含めます。これに加えて、自社の具体的な努力も記載しましょう。値上がり分に対するコスト削減努力をしたうえでの決断であると伝えます。
価格改定の具体的な時期や金額、影響などについては、今後の方針にまとめましょう。
改定はいつ行われ、どの商品がいくら変わるのかを明示します。記載しきれない場合はURLや問い合わせ先を載せ、詳しい情報を確認できるようにしておくことが大切です。
また、考えられるリスクも記載しておきましょう。仕入れと販売、請求は、タイミングが異なります。海外に本社や拠点がある企業の場合、振込日やクレジットカード引き落としのタイミングによって、新旧価格の差額が為替レートの影響で金額の差異が発生することもあります。
先程ご紹介した「件名」「価格改定の経緯」「今後の方針」に関する3つのポイントを踏まえ、業種別に価格改定のお知らせメールの文例をご紹介します。
件名:
「(製品名)」価格改定のお知らせ本文:
株式会社◯◯
●●様いつもお世話になっております。
株式会社△△の▲▲です。本日は、当社商品■■の価格改定についてご連絡申し上げます。
昨今、主要原材料や原油価格の高騰が続いており、
原材料費や物流コストなどの負担が以前よりも大きくなっております。
弊社でもさまざまな対策を講じ価格維持に努めてまいりましたが、
現行の価格体系を維持するのが困難な状況となりました。そこで、誠に不本意ではございますが、
製品の価格改定を実施させていただきたく存じます。つきましては、◯月◯日受注分より新価格を適用いたしますので、
ご案内申し上げます。
商品の新価格は、添付の一覧表をご覧ください。何卒、余儀ない事情をご理解いただき、
今後とも変わらぬご高配を賜りますようお願い申し上げます。----------
署名
件名:
カタログ掲載一部商品の価格改定につきまして本文:
株式会社◯◯
●●様平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
株式会社△△の▲▲でございます。カタログ掲載一部商品の価格改定につきまして、ご連絡いたします。
ご承知のとおり、昨今、原材料価格や原油価格などが高騰、
それに加えて、人手不足による物流コストの増加や円安の影響もあり、
経営を取り巻く環境は益々厳しさを増している状況です。弊社では、生産体制の見直しや省力化、業務効率化、などにより
現状価格を維持すべく、さまざまな努力を重ねてまいりました。しかし、予測をはるかに超える諸物価の値上がりを受け、
これ以上は困難と判断するに至りました。つきましては、誠に不本意ではございますが、
以下のとおり、製品の価格改定をお願いしたいと存じます。1.対象商品:カタログに記載の以下の商品
・商品A (URL)
・商品B (URL)
・商品C (URL)
2.改定時期:00年00月00日
3.改定内容:価格を約00%値上げ
4.お問い合わせ先:〇〇〇〇今回の価格改定に伴い、貴社での販売価格につきましても、
見直しをお願いすることになるかと存じます。弊社といたしましては、今後ともお客様のお役に立つ価値の高い製品の開発や
一層の品質・サービスレベルの向上に誠心誠意努めてまいります。何卒諸事情をご賢察いただき、ご理解くださいますようお願い申し上げます。
----------
署名
件名:
「店名」メニュー価格改定のお知らせ本文:
お客様各位(または個人名 様)平素より「(店舗名)」をご利用いただき、誠にありがとうございます。
「(店舗名)」責任者の△△です。この度、昨今の諸物価の高騰からくる仕入れ値や流通コスト、人件費の上昇などにより、
一部メニューの価格を改定させていただきます。当店では、お客様にご提供する食の安全性や品質を落とすことなく、
価格を維持しようとメニューの見直しや業務効率化などに努めましたが、
現行の価格を維持するのが困難な状況になりました。つきましては、大変心苦しいお知らせではございますが、
〇月〇日より、以下のとおり価格改定を実施させていただきます。(商品名-現行価格-改定後価格、いずれも税抜価格)
・商品A:1,200円→1,300円
・商品B:850円→900円
・商品C:1,350→1,500円価格改定後も、お客様にご満足いただける品質の料理やサービスを
ご提供できるよう精進してまいります。今後とも「(店舗名)」に変わらぬご愛顧を賜りますよう
何卒よろしくお願い申し上げます。----------
署名
お客様に満足してもらえる商品やサービスの安全性・品質を維持するためには、価格改定が必要となる場合があります。さまざまな努力の結果として、やむを得ず価格改定に至ったことを誠実に伝えれば、お客様も理解してくださり、中には「助けてあげたい」「応援してあげよう」と思ってくださる方もいるかもしれません。今回の文例を参考に、自社オリジナルの文章で価格改定のお知らせメールを作成してみましょう。
オリジナルの文章で作成をしても、一斉メールで送ってしまったら自分事に思ってもらえないのではないかといった懸念も出てくるでしょう。そんな時はメールの宛名を、「お客様各位」から個別企業名・担当者名にしてみましょう。そのひと手間をかけるだけでも、お客様が自分事として捉えてくださる可能性が高まります。なおメール共有・管理システムである「メールワイズ」を使うと、アドレス帳のカスタマイズ機能でメール配信する顧客をきめ細かく絞り込みできるのはもちろん、文字列(予約語)を挿入することで、その顧客に合った情報(会社名や個人名など)を入れることができます。効率化できる部分はツールに任せ、価格改定後の対応に備えましょう。
「メールワイズ」には、顧客情報活用の課題を解決できる機能があります。