無料で使えるAIツールとしては、OpenAIがリリースした「ChatGPT」や、Googleがリリースした「Gemini」が有名です。今回はこの2つのAIツールを例に、ビジネスメール作成の基本的な使い方を確認していきましょう。
まず、効果的にAIを使うためには「プロンプト」と呼ばれる指示や質問が大事になります。プロンプトとは、AIにどのようなメール本文を書いてほしいかを伝えるための指示文のことです。ただ「メールを書いて」と指示するだけでは、思い通りの文章が生成されるとは限りません。良い文章を書いてもらうコツは、なるべく具体的にAIに指示をすることです。ここでは3つのコツを解説します。
企業のどんな立場の人間としてメールを書いてほしいのか、AIに伝えましょう。基本的には自分自身の立場を指定するのが好ましいです。役割を与えることで、その人物像にふさわしい視点や内容で文章を生成できます。
たとえば「あなたは広告代理店のマーケティング担当者です」「あなたは営業部の部長です」などと入力してみましょう。あるいは「あなたはビジネスメールの専門家です」と伝えるのも効果的です。
宛先は誰なのか、内容はお礼なのかお詫びなのか、問い合わせなのか。状況をできるだけ詳細に伝えることで、よりその状況にあったメールが生成されます。その際、メールの送信相手がどの立場なのかも同時に伝えることを忘れずに。たとえば取引相手なのか、自分より上席なのかなども記載するとより正確な内容になるでしょう。
ビジネスメールは送信相手に合わせたトーンで書く必要があります。送信相手との関係性や、内容を考慮して言葉遣いや雰囲気を指定しましょう。
たとえば「丁寧だけど堅すぎず」「上司向けに落ち着いたトーンで」「社外向けにフォーマルに」などと記載すると、イメージにより近いメールを作成するために有効な手段となります。
プロンプトの書き方は、基本的にChatGPTとGeminiのどちらでも大きな違いはありません。ただし、この2つのAIツールにはそれぞれの特徴や違いもあります。
ChatGPTは文章生成の精度が高く、入力された情報を整理したうえで自然な文章を作成できます。そのため内容が複雑だったり、過程を丁寧に書きたい場合に向いています。
一方でGeminiはGoogle製なので、Gmailとの連携力が大きな利点です。特に、Gmailの返信作成や文面提案など、Googleサービスと組み合わせて使うと効果的です。
そのため、ビジネスメールの作成にChatGPTとGeminiのどちらを使うかは、そのときの状況によって使い分けるのが良いでしょう。より複雑で丁寧な文章を作成したいときはChatGPTを、Gmailでの返信にはGeminiを利用すると作業効率が上がるはずです。
生成AIを使えば、目的に合わせたビジネスメール文を短時間で作成し、自然で丁寧な表現に整えることができます。具体的な作成方法を解説します。
お詫びメールでは「事実を簡潔に」「誠意を持って」「今後の対応を明示する」の3点が重要になります。
どんなことが起きたのか、なにが原因だったのかをしっかりとプロンプトで指示しましょう。今後の対応もプロンプトに記載することで、それを考慮した誠意が伝わる内容を作成できます。
<プロンプト例>
あなたはビジネスメールの専門家です。
以下の内容をもとに、取引先に送るお詫びメールを作成してください。【状況】
・納品が予定より2日遅れた
・原因は部材の入荷遅延
・相手は取引先の担当者(社外)
・誠意を伝えつつ、今後の対策も記載したい【条件】
・件名と本文を作成
・ですます調、落ち着いたトーンで
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※2025年10月20日時点
プロンプトでは「どんな場面のお礼か」「相手との関係」を指示すると良いでしょう。特に相手との関係が、社外なのか社内なのか、初対面かなど詳しく記載すると精度が上がります。
また、定型文だけでは印象が薄くなりがちなため、相手や状況に合わせた一文も提案させるのが効果的です。
<プロンプト例>
あなたは営業部の社員です。
取引相手の株式会社△△開発部〇〇様宛に、打ち合わせのお礼メールを作成してください。【条件】
・件名:本日の打ち合わせのお礼
・丁寧でビジネスらしい文章
・相手は課長。多忙ななか打ち合わせの時間をいただいたお礼を伝える
・今後の企画について、今後もぜひ御社と進めていきたいと伝える
・最後に「今後ともよろしくお願いいたします」で締める
日程調整メールを作成するプロンプトのポイントは、条件を明確に入力することです。候補日や場所、オンラインか対面かなど、決定していることは具体的に記載しましょう。返信の期日を設けたい場合は、その日付も伝えるとより実務的な内容になります。
また、「返信を急ぎたい」「日程は柔軟に対応できる」「再調整をお願いする」などトーンの指示を入れるのもコツです。
<プロンプト例>
あなたは営業部の社員です。
新規プロジェクトの社内ミーティングの日程調整のメールを作成してください。【条件】
・件名と本文を作成
・宛先は企画部、開発部、広報部の社員
・候補日は以下の通り
12月11日(月)13:00~15:00
12月12日(火)10:00~12:00
12月13日(水)16:00~18:00・予定が合わない場合は他の希望を教えてほしい
・返信期日は今週の金曜日まで
・トーンは丁寧だが社内向けに親しみやすい
・最後に一言、協力へのお礼を添える
AIに相手から届いたメールの原文を入力することで、文脈や意図をくみ取った自然な返信文を作成できます。特に、文面に悩みやすい「断り」「依頼再調整」「クレーム」などのケースでは有効です。
クレームや苦情、お客様からのお叱りといったメールの返信は、感情的なやり取りになりやすく、冷静さと誠意の両立が求められる難しいシーンです。
プロンプトには「原因」「発生から現在までの経緯」「相手の立場」を明確に記載しましょう。
<プロンプト例>
あなたは営業部の社員です。
取引先から納品に関するクレームをいただきました。
お詫びと今後の対応を伝えるビジネスメールを作成してください。【条件】
・件名:納品遅延に関するお詫び
・相手は取引先の株式会社△△ 〇〇様
・原因は仕入先のトラブルにより納期が遅れたこと
・当初予定の10月30日に間に合わず、11月2日に納品完了
・相手は取引先担当者で、スケジュールに影響が出ている
・責任を回避せず誠実で丁寧に。今後の再発防止にも触れる
・「お詫び」→「原因と経緯」→「今後の対応」→「締めの言葉」の構成
「断りの理由」「相手との関係性」「トーン」は具体的に入力します。たとえば「スケジュールが合わず断念」「社外のお得意様」「やわらかめのトーンで」など、状況を明確に伝えると精度が上がります。生成された文面は、そのまま使うのではなく、自社の立場や自分の言葉に合わせて微調整するとより自然になるでしょう。
<プロンプト例>
あなたは人事部の担当者です。
外部講師からの研修提案を断るメールを作成してください。【条件】
・件名と本文を作成
・株式会社〇〇教育研究所 〇〇様宛
・今年度の研修計画がすでに確定しているため
・相手は社外パートナー候補。今後の可能性は残したい
・丁寧・穏やか・誠実なトーンで
・「断り」よりも先に「感謝」を伝える
プロンプトに「問い合わせ内容全文」+「回答の要点」「トーン」を入力すると、相手の疑問を解消する自然な文面が作成できます。回答出力後は、製品情報や料金、日程など事実に間違いがないかの確認は必ず行いましょう。
<プロンプト例>
あなたは〇〇株式会社の企画部の社員です。
以下の「問い合わせ内容全文」に対する返信メールを作成してください。問い合わせ内容:
(ここに相手からの問い合わせ全文を貼り付け)※個人・社外秘の情報は漏洩リスクを避けるため、それらの情報はカットしてAIに送信するのが賢明です。AIのプランによっては会話を機械学習に使用せずプライバシー保護が徹底されている場合もありますので、まずは社内ガイドラインを確認し、どこまでの情報をAIに送信してよいかをしっかり検討しましょう。
【条件】
・件名は「お問い合わせの件について」
・回答内容の要点(箇条書きでもよい)をわかりやすく整理する
・ですます調で、丁寧かつ簡潔な文体。社外向けのビジネス調
・必要があれば、関連サイトを案内する
AIは、メールを生成するだけではありません。自分で書いたメールをAIにチェックしてもらうという使い方もおすすめです。自分で作成した文章をAIに読み込ませることで、文法ミスや敬語の誤用をチェックでき、より適切な表現の提案も受けられます。
「敬語チェック」「トーン調整」「文字数の調整依頼」などを指定することで、よりイメージに近い添削結果が得られるでしょう。
添削のプロンプト例としては以下のようなものがあります。
<プロンプト例>
あなたはビジネスメールの専門校正者です。
以下のメール文を、指定した観点に沿って添削してください。【メール本文】
(ここに自分の書いたメールを貼り付け)※個人・社外秘の情報は漏洩リスクを避けるため、それらの情報はカットしてAIに送信するのが賢明です。AIのプランによっては会話を機械学習に使用せずプライバシー保護が徹底されている場合もありますので、まずは社内ガイドラインを確認し、どこまでの情報をAIに送信してよいかをしっかり検討しましょう。
【添削してほしい観点】
・敬語の使い方
・文のトーン調整(例:丁寧でやわらかく)
・冗長な部分を短くしたい
・全体の自然さと読みやすさ
・300字前後に調整
もちろん、ChatGPTとGeminiのどちらでもビジネスメールの添削は可能です。
ChatGPTは言語の表現に優れていますので、丁寧さや敬語、クッション言葉の使い方など、トーン調整をしたいときに適しています。
一方で、GeminiはGmailとの連携が強みで、メール画面上でそのまま返信文の作成や要約、内容の確認を行えます。
AIによるビジネスメール作成は便利ですが、注意すべき点があります。
生成AIツールはクラウド上で動作するため、入力内容が外部サーバーに保存されることがあります。情報漏洩のリスクとなるため、適切なセキュリティ対策を講じ、機密情報などは絶対に入力しないようにしましょう。
生成AIツールは使い方にさまざまな制約があります。また、情報を取り扱うため、最近では社内でガイドラインが設けられているケースが多いものです。まずは社内ガイドラインを確認し、ルールに沿って活用しましょう。
AIは必ずしも正しく文章を生成するわけではありません。生成された文章が本来の意図から外れていないか、適切な日本語になっているか、数字に間違いなどないかは必ず確認し、必要があれば修正をしましょう。
AIを活用すれば、誰でも効率的で伝わりやすいメールを作成できます。
社内でプロンプトを共有し、チーム対応を一元管理できる「メールワイズ」と組み合わせれば、業務全体の生産性も高まります。
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