今回取材させていただいたのは、「株式会社JTBグローバルマーケティング&トラベル」様です。
1912年、外国からのお客様を日本へお迎えするという役割をもって、JTBの歴史がスタートしました。それから約1世紀、元来のミッションをコアビジネスとして事業を展開しています。
訪日旅行専門の旅行会社という性質上、海外の旅行会社との外国語によるメールのやり取りも日常的に行われています。個人メーラーでの対応では、振り分けや管理が追い付かなくなったのをきっかけに導入した「メールワイズ」は、段階的に他部署へ展開し、現在では9部門、約200名のユーザーに活用されています。
そこで今回は、部門ごとでの運用ルールの設定や、他部門への展開を成功させるコツをうかがいました。
東京オリンピックの開催も決まり、海外からの旅行者誘致は、日本のビジネスとして大きく期待されていますが、JTBグローバルマーケティング&トラベル様は、まさにこの分野で強みを発揮されている企業と承っています。
そうですね。
例えば外国人向けパッケージツアー「サンライズツアー」の企画・販売を行ったり、富裕層マーケットに特化した営業を行う「BOUTIQUE JTB」のほか、スポーツ、文化、音楽などの国際イベントも手掛けるなど、日本への外国人誘致に関する幅広い業務を行っています。
そうすると、業務で扱うメールも、多言語に及びそうですね。
海外の旅行会社との間のメールでは現地語でのやりとりとなりますし、国内のスタッフも日本人だけとは限りません。具体的な統計はありませんが、外国語のメールの方がおそらく多いですね。
もともとは一つのメーラーで対応していましたが、メールの担当者の振り分け業務だけでも大変な負荷がかかっていました。また担当者が出張や休暇をとっている場合、レスポンスが遅くなるという問題も発生していました。そこで検討したのが、1つのメールアドレスを複数のメンバーで共有できるメールワイズだったのです。
2013年に35ユーザーで導入していただいていますが、その後、一気に100ユーザー以上増やされていますね。
初期に導入した部門で、メール対応の業務がスムーズになったことから、他の部門にも展開することになったのです。
それでは、本日は、他部門への展開を成功させるコツなど、ぜひ教えていだければと思います!
メールワイズをうまく活用するには、運用ルールを決めることが大きなポイントになってくると思います。IT部門を見ていらっしゃるのは前田様とのことですが、こうした運用ルールはIT部門主導で行ったのでしょうか?
現在は9つの部門でメールワイズを導入していますが、基本的な活用方法については、もちろんIT企画課から説明をします。しかし、実際の運用ルールは各部門の部長、課長レベルを中心に決めることになります。やはり、部門ごとに業務の特性は異なるので、現場に合わせたルールにする必要があるからです。
例えば、複数の国の旅行会社の窓口となる部門では「国ごとにメールアドレスを作って、メールワイズに集約することで、多言語が飛び交うメールを管理しやすくする」という運用を行っています。
逆に国内の営業拠点を管理している地域営業部という部門では、その必要はありません。地域営業部にとっては、案件によってどの地域営業所に割り振るか...という点が、メールワイズ導入のメリットになるわけです。また、同じ場所にいなくても、全国の拠点で進捗状況などを同時共有できるという点が重視されます。
このように、部門によって業務の独自性がありますので、それにあわせた運用を行うわけです。
JTBグローバルマーケティング&トラベル様で、「自社の業務に合わせた活用をしている」という例があれば教えていただけますか?
私の所属している営業部門では、「コード番号をメールの件名に入れる」というルールを作っています。外国人向けパッケージツアー「サンライズツアー」のヘルプデスクといった業務を行っていると、同じ旅行会社と何度もやりとりをすることとなります。
そこで履歴の検索や参照がしやすくなるように、見積りや予約ごとにコード番号を発行し、コード番号で検索すれば、一覧で洗い出せるようにしているのです。
なるほど!このルールは便利そうですね。
検索機能は、似たようなケースで以前はどのような対応をしたのかの、ノウハウとしての活用にも便利ですね。外国のお客様から「歌舞伎のチケットの取得方法」について問い合わせを受けた新人が、同じ質問に以前先輩社員がどのように説明していたのかを参照することで、業務効率がアップするだけでなく、確実な回答ができるようになるわけです。
ステータスによる進捗管理は行っていらっしゃいますか?
「未処理」「処理中」「処理済み」「至急」「大至急」といった元からある設定のほか、「チェック待ち」「保留」「つなぎ」など独自の設定も行っています。
「つなぎ」…ですか?耳慣れない言葉ですね?
一度返信したメールは「処理済み」となってしまうため、メールボックスから消えてしまいます。しかし、返信後にも、まだやりとりが続くというケースも当然発生します。そこで、メールを返信したけれど対応を続けるという場合に「つなぎ」というステータスを使用しているのです。
ただ、あまりに細分化しすぎると、かえってわかりにくくなってしまうため、これも部門の実情にあわせることが重要だと思います。
「つなぎ」は担当者が、自分の業務のためにつけるものですが、これとは別に他のスタッフに引き継ぐというケースには、「コメント」欄を活用しています。
担当者が抱えるメールの数が多い日や繁忙期などには、他のスタッフに対応を手伝ってもらいます。その際には、例えば「駅から近いホテルを提案してください」「値段重視のお客様です」というように、コメントを記載することで、引き継いだスタッフがスムーズに対応できるようにしているのです。
新たに導入拡大された部門での、メールワイズの評判はいかがでしたか?
一般的なメーラーやクラウドのメールサービスとは、インターフェースも、そもそもの使い方も異なるので、新規導入部門に対しては説明会を開催します。思ったよりも、スムーズに受け入れているという印象を持っています。
実際に活用した経験をもとに、私が新規ユーザーへの講師役となりました。最初に導入した部署で既にメールワイズを活用していた社員が、新規導入の部署に異動していたケースでは、その部門ならでの活用法なども、事前にアイディアをもらえ、部門にあった状況で運用をスタートできたのも大きかったと思います。
導入後に「こんなところを改善してほしい」といった要望が上がってきたことなどは、ありますか?
部門からの要望に応じて、IT企画課で対応したケースも、いくつかあります。例えば、「返信する時に引用したメールの送信日時を記載したい」という要望が、沖縄の営業所から届きました。この時は、テンプレートを活用することで、自動的に記載されるようにしました。
クラウド版のメールワイズが外出先からでも使える点は、社員の評価が高いと思います。特に出張が多い社員は、移動の合間の時間を有効活用できますので。
これは災害時などに、出社できなくても業務が行えるという事業継続性といった視点でのメリットにもなります。
本日のお話は大変参考になりました。また、導入拡大した新たな部門で新たな活用法が生まれましたら、ぜひ取材させてください!本日は、どうもありがとうございました。
「メールワイズ」をご検討される方へ